<データから見る都議選> 過去3回を分析してみると? 【図解】
データから見える都議選「5つの特徴」
これまでの都議選データを眺めると幾つかの特徴が見えてくる。 【1】選挙ごとに3分の1が入れ替わる 1つ目の特徴は、選挙の度に議員の概ね3分の1が入れ替わることだ。 前回(2017年)は新人の当選者が4割を占めた。都民ファという新興勢力が大量当選した結果だが、これを除いても総じて「通り易く・落ちやすい」というのが都議選の相場。当選回数の少ない議員の集まりとも言え、現在当選1、2回の議員で6割を占める。 多選が見られがちな他の道府県議会と異なり、当選5回以上のベテラン議員となると1割(15人)しかいないのだ。 【2】第1党が毎回変わる 第2の特徴は、選挙の度に都議会の第1党を占める政党が入れ替わることだ。図表をご覧いただきたい。直近3回の都議選を見ても、12年前は国政の政権交代ブームのなか都議会民主が54議席でトップ、8年前は政権を追われた民主に代わり自民が大勝(59)、4年前は小池ブームのなか都民ファが55議席(追加公認含む)と大勝した。4年毎に非自民→自民→非自民と振り子が働いている。果して今回はどうなるか。 【3】「23」を割らない公明議席 第3の特徴は、この50年間、都議会公明は23議席を割り込んだことがない点だ。都議会では第3党に留まることが多いが、実はこの「23」という数字が都議会を動かす。 半世紀前、東京五輪(1964年)の翌年、都議会は汚職塗れになり自主解散に追い込まれている。その出直し選で自民党惨敗、社会党大躍進の傍ら、公明が政党として23議席を得てデビューしている。 以来、都政は革新の美濃部12年間、保守の鈴木16年間、そして青島、石原、猪瀬、舛添、現在の小池都政とめまぐるしく変わってきた。その中で公明は29議席(1985年)を得た時期もあるものの、23議席を割り込むことなく安定した勢力を保っている。 直近の12年間をみると、2009年の第1党は民主、13年は自民、17年は都民ファと入れ替わってきたが、いずれの場合も第1党の議席は過半数に届かない。その中で23議席と常勝を続けているのが公明で、結果として知事与党の役割は公明なくして果たせない。“継続は力なり”、その底力が第1党、第2党の狭間にあって「扇の要」の役を果たすようになっている。今回も23人を死守すべく全員当選を目指す。 【4】議員が若い 第4の特徴は、議員の平均年齢が50歳と低く、他の道府県に比べて若いことだ。 最年長71歳、最年少28歳で40歳代以下の議員が58人と5割近くを占める(2018年10月時点)。全国の都道府県の議会議員の平均年齢は57.6歳(2017年)であり、8歳ほど下回っていることが分かる。 【5】女性議員割合が高い 第5の特徴は、都議会では女性議員(36人)の比率が29%と全国で最も高いことだ。 内閣府が2020年7月に作成した資料によると、全国平均は11.4%。ちなみに、全都道府県議会で女性比率が2割を上回ったのは東京と京都(21.7%)だけ。最も少ない山梨県は2.7%(37人中1人)だった。
都議選 今回はどうなる?
都議選はどうしても衆院選の前哨戦としての位置付けから、メディア報道を含め、往々にして政党間の議席争いに目が行きがちになる。しかし、上記のような数値に着目すると別の側面も見えてくるのではないだろうか。 当選回数の多い議員が必ずしも有利とは言えず、逆に新人の当選確率が高いこと。議員の概ね3割は入れ替わってきた歴史があるなど新陳代謝が速いこと。また若年層、女性議員の比率が高いこと、などだ。果たして今回の都議選ではどのような結果が待ち受けているのだろう。1か月後には結果が出る。