大舞台で真っ向勝負、勇気で掴んだ同期ワンツー 窓場千加頼と古性優作が魅せたオールスター決勝戦/競輪記者の「記憶に残る一戦」
いよいよ19日、G1戦線のラストを飾る競輪祭が開幕する。このシリーズでグランプリの出場選手が決まり、競輪界は一気に締めくくりの12月に向けて“年末”の色を濃くしていく。今回は今年ここまでの激闘を振り返るべく、選手の声を直接取材し続け、2024年の激闘譜を“現場目線”で知る競輪記者たちの「記憶に残る一戦」についてお届けする。(企画・構成 netkeirin編集部)
8月18日・平塚競輪「オールスター競輪」決勝(アオケイ・石濱記者)
競輪にのめり込む毎日なので、あっという間に時間が過ぎていく。気づけば今年のG1は「競輪祭」ひとつだけ。これが終わるとグランプリの9名が出揃い、いよいよ年末の大一番を迎える。たくさんの激闘があった今年の競輪界だが、振り返っていく中で古性優作が獲ったオールスター決勝戦が印象強い。G1という最高峰の舞台で同期の窓場千加頼とワンツーを決めた決勝戦。お互いが力を出し切ったことによって生まれた最高の結果だった。
決勝並び
⑧松井宏佑-①郡司浩平 ⑦窓場千加頼-②古性優作 ⑨新山響平-③佐藤慎太郎-④守澤太志-⑥渡部幸訓 ⑤眞杉匠 この開催の松井は抜群の仕上がりだった。展開が向いたのもあったが、準決勝ではあの脇本雄太を捲っている。準決勝のレース後の郡司浩平に「ワッキーを捲れるのは松井くらい」と言わせるほど超抜だった。新山も準決勝を逃げ切っている。犬伏湧也や深谷知広を完封しているモノで価値のある押し切り。こちらもデキは良さそうだったし、関東からただ一人勝ち上がった眞杉も連日軽快な動きでファイナル進出。当たり前だがG1決勝ということもあってとてつもないメンバーで行われた。
レースのポイントは古性に任された窓場の動きがどう出るか、だった。逃げるのか位置に拘るのか捌くのか捲るのか。同期と言えども古性は大格上。引き出しだって考えられた。それでも窓場は勝負から逃げなかった。リスクのある前受けをし、新山ラインを受けて5番手を確保。絶好調だった松井を後ろに置き、圧で牽制すると松井は全く動けなかった。 そして勇気を出して2角から先捲り。佐藤の牽制を力で乗り越えると古性とのワンツー。最後は差されたものの力勝負をしてこの大舞台で見事に好連係を決めたのだ。これは脚力だけではなく、気持ち、精神的にも窓場が強くなっていることを象徴する走りだった。