考察『光る君へ』44話 遂に道長(柄本佑)の「このよをば」!果たして「この世」なのか「この夜」なのか?見上げる望月は、まひろ(吉高由里子)と結ばれたあの夜と同じ月
頼通、結局お前もそうなのか
道長が摂政と左大臣を退き、頼通が摂政となった。母・倫子と嫡妻・隆姫、そして弟妹たちという身内だけの祝いの席で、 頼通「さっそくだが、威子(たけこ/佐月絵美)。入内してくれぬか」 威子「えっ? 帝は10歳、私は19歳でございますが」 年齢もそうだが、後一条帝は威子の姉・彰子の子なので威子にとっては甥にあたる。後一条帝の両親である一条帝と彰子は従兄妹同士だった。今更だが、平安時代のかしこきあたりは血が近すぎないか。親戚同士で結婚を繰り返している。 年齢差がありすぎると戸惑う威子の隣で、倫子の産んだ末娘・嬉子(よしこ/太田結乃)が、 嬉子「兄上。私が参ります。私は11歳。帝のひとつ上ですので」 頼通「嬉子には嬉子の役目がある」 嬉子はこの後、彰子の次男・敦良親王(立野空侑)が東宮として立太子した際、頼通の養女として入内するのだ。こっちも叔母と甥婚、道長の血でがんじがらめ! 頼通は妻の隆姫女王との間に子がなくてもよい、それで我々は幸せだと言い切ったが、妹たちを権力維持のための道具とすることには躊躇がない。頼通ぃ、このぉ。結局お前もそうなのかぁ! 嫌がる威子に、倫子が「帝の最初のおなごとなり、帝の御心をしかと掴むのです」。この一年、貴族の皆さんは優雅なお言葉づかいでエグいことばっかり言ってたなあ……もちろん倫子のこの言葉は、幼い頃の一条帝と定子の例を踏まえてのことだ。 本人の意思は関係なく、威子は後一条帝に入内した。 明けて寛仁元年(1017年)春、三条院崩御。 三条院「娍子……闇を共に歩んでくれて、嬉しかったぞ」 娍子「主上はいつまでも、私の主上でございます」 時勢に翻弄され続けた悲しき帝。それでも傍にずっと、娍子という最愛の女性がいたのだと描いてくれたことに感謝したい。 敦明親王が東宮の地位を自ら退いたことはナレーション紹介のみとなってしまったが、その影響、波紋は非常にドラマチックである。先週の清少納言(ファーストサマーウイカ)の場面でも感じたが、以前のように大河ドラマが50話あったら、このあたりも描かれたのではと思い残念だ。 敦明親王の東宮辞退を受けて、道長の孫で彰子の次男・敦良親王が東宮となった。 そしてついに、その瞬間がやってくる──。
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