斎藤氏のSNSの使い方は「極めて真面目」だった 選挙報道しないテレビがSNSになぜ苦言を呈すのか
11月17日の兵庫県知事選挙の結果は日本中を驚かせた。パワハラが告発され、おねだり疑惑も浮上した斎藤元彦氏が勝利するとは他県民は思わなかっただろう。 【画像】斎藤元彦氏は「本人のアカウント」と「応援アカウント」を使い分けていた ■「SNSは危ない場所だ」と批判するテレビ 斎藤氏勝利の理由として、7月の東京都知事選、10月の衆議院選挙に続いてSNSの活用が挙げられた。テレビの報道や情報番組は斎藤氏を散々悪人扱いしてきたが、有権者はその真逆のことを言う。「最初はテレビで悪い印象を持ったけど、SNSで誠実さを知った」と、高齢者たちが取材に答えていたのが印象的だった。
この結果についての、各テレビ局の反応が正直みっともなかった。SNSがテレビに勝ったとの声に対し、「テレビは放送法の縛りで選挙報道ができない」と言い訳したり、「SNSはデマばかりでいいのか」「SNSが上手い人が選挙で有利になっていいのか」などとSNSをキャスターたちが批判していた。 本命扱いされて敗れた稲村和美氏は「斎藤候補と争ったというより何と向き合っているのか違和感があった」と述べ、SNSで様々な言説が飛び交ったことに振り回され、疲れた様子だった。またネット活用に振り切れなかったとも語っていた。
確かにこの選挙では斎藤氏、稲村氏それぞれに支援者がつき、本人よりもむしろ支援者同士で戦い、いがみ合ってSNSが荒れた印象は否めない。中でも、立花孝志氏の「参戦」で話が複雑怪奇になっていった。立花氏は「斎藤氏を当選させるための立候補」と前代未聞の宣言を行い、斎藤氏への疑惑は守旧派の陰謀なのだと真実か判断できないことを主張していた。 一見、これほどSNSで混乱した選挙もなかっただろう。その結果、世間からパワハラ首長と罵られ議会から不信任を言い渡された斎藤氏が、いつの間にか誤解の解けた改革の騎手と扱われ英雄視された。そのことに戸惑い、SNSは危ない場所だと言いたくなるのもわからないでもない。