ほぐすと疲れがとれるのは「肩」でも「腰」でもない…翌朝シャキッと動ける人が寝る前に揉んでいる"意外な部位"
■リカバリートレーニングは4段階で行おう リカバリートレーニングは、次の4つのフェーズ(段階)で行います。 ---------- フェーズ0:状態把握(現時点での回復能力、疲労状態を知る) フェーズ1:ほぐす系(柔軟性を取り戻し、回復能力を高める下地づくり) フェーズ2:整える系(骨格のずれや循環状況を改善) フェーズ3:鍛える系(深部から循環を促し、働かせるべき部位を働かせる) ---------- これらのフェーズは順序がとても重要です。最終的には「鍛える」フェーズに至りますが、その前段階でこれまでに蓄積された固さをしっかり解消しておくことで、後に行うトレーニングの効果が高まります。 そのため、必ずフェーズ0から行ってください。また、フェーズ0は現状の疲労状態、トレーニング前後の状態変化を確認するために重要です。トレーニングというより、現状の疲労状態をチェックするために活用します。特に回復能力の向上が実感できるようになってきた後も、継続して行いましょう。 ファーストステップとなるフェーズ0では「状態把握」を行います。自分自身の回復能力がわかるだけでなく、その日の状態を知るうえでも非常に有用なので、なるべく毎日チェックしてください。 フェーズ1では身体を「ほぐす系」のトレーニングを行います。これは、疲労によって特に固まりやすい身体の各器官の柔軟性を取り戻し、回復能力を高める下地づくりの役割を持ちます。ゆえに、ここでしっかりとほぐしておかなければ、その先で十分な効果を得られにくくなります。 ■やってみよう! 「お腹」のチェック&ほぐし方 〈フェーズ0〉 お腹には筋肉疲労や内臓疲労など、さまざまな疲労が「固さ」として現れますが、特に内臓の自律神経などに蓄積した疲労の度合いや血流状態を反映します。 「固さ」の目安は、お腹の厚さの半分ぐらいまで押し込んでも痛みや違和感がないこと。(図表1) 指で深く押し込んだときに痛みや違和感がある、ほかの部位よりも固いという場合は要注意です。(図表2) 〈フェーズ1〉 お腹の固さはおもに内臓疲労の状態を表します。固いところを見逃さないために、お腹を9つの区画に分けて、1区画ずつていねいにほぐすのがポイント。(図表3) 内臓を柔らかくすることで血流がアップします。毎日繰り返すことで固くなりやすい区画がわかりやすくなるので、そこを重点的にほぐしましょう。(図表4) 固さがなかなかとれない場合や、固さを繰り返す場合は、食事習慣を見直す必要性もあります。 ---------- 中野 崇(なかの・たかし) スポーツトレーナー/フィジカルコーチ/理学療法士 株式会社JARTA international 代表取締役。1980年生まれ。大阪教育大学教育学部障害児教育学科(バイオメカニクス研究室)卒業。2013年にJARTAを設立し、国内外のプロアスリートへの身体操作トレーニング指導およびスポーツトレーナーの育成に携わる。イタリアのトレーナー協会であるAPF(Accademia Preparatori Fisici)で日本人として初めてSOCIO ONORATO(名誉会員)となる。イタリアプロラグビーFiamme oroコーチを務める。また、東京2020パラリンピック競技大会ではブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチとして選手を支えた。YouTubeをはじめとするSNSでは、プロ選手たちがパフォーマンスを高めるために使ってきたノウハウを一般の人でも実践できる形で紹介・発信している。著書に、『最強の身体能力 プロが実践する脱力スキルの鍛え方』(かんき出版)がある。 ----------
スポーツトレーナー/フィジカルコーチ/理学療法士 中野 崇