ほぐすと疲れがとれるのは「肩」でも「腰」でもない…翌朝シャキッと動ける人が寝る前に揉んでいる"意外な部位"
■お腹が固まるとパフォーマンスや疲労回復に大きく影響する 内臓疲労はおもに「お腹が固まる」という症状として現れます。 実は胃や小腸・大腸といった内臓は、非常に疲れが溜まりやすい部分です。内臓も筋肉なので、疲労が続くと衰えて薄くなったり、固くなったりします。その結果、消化吸収能力が低下していくのです。 疲労の蓄積や加齢が進むと、ちょっと食べすぎたりすると翌朝まで胃のもたれや不快さを持ちこしてしまい、お腹やみぞおちあたりからくる不快感に苛まれるようになります。これらの不快感も、内臓の筋肉の衰えからくるものです。 「内臓やお腹の固さなんて気にしたことがない」 「パフォーマンスに影響するなんて考えたこともない」 そんな選手は多いですが、実際にお腹の固さを改善することでパフォーマンスが向上するケースは非常に多いです。 お腹が固くなることは、明らかに疲労症状です。 腹圧が使えなくなるので体幹が不安定になり、それを補う形で腰が過剰に固まって、痛めやすい状態になります。これではパフォーマンスや回復能力に大きなマイナス影響がでます。 腹圧とは腹腔内部にかかる圧力のことですが、重いものを持ち上げたりするなど、大きな力を出すときにこの圧力が背骨(腰椎)を保護したり、力をうまく伝達したりする役割を担っています。 お腹が柔らかければ、横隔膜(おうかくまく)や腹横筋(ふくおうきん)(助骨と骨盤の間にある筋肉)、骨盤底筋群(骨盤の底に位置する筋肉の集合体)、多裂筋(たれつきん)(背骨のすぐ横を縦に走る筋肉)などを働かせやすくなり、筋肉に頼らずともコルセットのように体幹を安定させることが可能です。 ■固くなっていない? すぐできるセルフチェック お腹が固いことの最大のデメリットは、「横隔膜」の動きが妨げられることです。 呼吸が浅くなるほか、横隔膜による内臓マッサージ作用が働かなくなることで、さらにお腹の固さは改善しにくくなります(横隔膜は身体を深部から柔らかく保つうえで、もっとも大切な部位の一つです。『最強の回復能力 プロが実践するリカバリースキルの高め方』の第3章でより詳しく解説します)。 さらに、内臓を包む膜である「腹膜」も固めます。腹膜は腰椎や骨盤にもくっついているので、姿勢や動きに影響を与えます。このように、お腹が固くていいことは一つもありません。 実際、トップアスリートのお腹を触ると、奥までお餅みたいに柔らかく、多少疲労して固くなってもすぐに柔らかさを取り戻します。ぜひ、シックスパックだけではなく、お腹のもっと奥の状態にも関心を持つようにしてみてください。 練習やトレーニング前に、次の2点を確認することを習慣づけましょう。 ---------- ・お腹を奥深くまで指で押し込んで、固さや痛みがないか ・呼吸の深さはどうか(深いほどお腹と腰が膨らむ) ---------- リカバリートレーニング(=疲労回復能力を高めるための身体づくり)では、おもにお腹の固さを取り除き、横隔膜の動きを正常化させることからはじめます。それにより内臓疲労を改善するほか、循環も向上させます。