朝食抜きで口臭が強くなる?気になる“ニオイ”を防ぐ毎日の食習慣、医師が解説
朝ご飯を抜くと口臭が強くなる⁉️
農林水産省の食育に関する調査(2019年)では、ほぼ毎日朝食を取っている人は82.5パーセントと、ほとんどの人が朝食を食べていると報告されています。ただ、20代男性だけを見ると、約3割が食べていないのだそうです。理由は「朝早く起きられない」「朝は食欲がない」というものが半数近くを占めていました。 私は口臭治療を行う際、「生活習慣調査表」と称する表に、1日の飲食生活を1週間分記入し、持参していただいています。それを見ると、朝食を取っている患者さんは3割にも届きません。なかでも男性は朝食を取っている人が少なく、取っていたとしてもパンだけ、コーヒーだけという内容でした。女性もやはり朝食を取っている人は少なく、5割にもなりません。つまり、口臭がある人は朝食を取らない傾向にある、と言えるでしょう。 人は日中、交感神経優位で活動して、夜は副交感神経優位に切り替わり、睡眠・消化吸収を行っています。このシステムを自律神経が受け持ち、交感神経と副交感神経のバランスで調節を行って、内臓や血管などの働きを24時間休まず自動的に調節しています。 このバランスが結構崩れるのです。 朝の交感神経優位への切り替えは食事、運動、光で行われますが、なかでも食事は大事です。もし1日2食にしてしまうと、夜8時に食事したとして昼ご飯まで16時間の空腹時間を乗り越えなければならなくなります。当然、低血糖で頭が働きません。そこで血糖値を無理やり上げるために、アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌されるため、食欲がわかないのです。 朝から食事を取れないのは、常に交感神経優位だからです。これでは自律神経のバランスが崩れ、情緒不安定な状態を引き起こしてしまいます。具体的にはイライラしてキレやすく、不安で何事もネガティブな感情に振り回されることになるのです。 朝の食事には「噛むことで脳への血流を上げる」「血糖値を上げてエネルギーを補給する」という、2つの覚醒効果があります。多くの人は食事が精神的な影響を与えることを知りません。体調はともかく、朝抜いたところで通常通りの動きができるし、昨日と変わらない景色に見えるからです。 しかし、塵も積もれば山となる。毎日の積み重ねがエネルギーの歯車を壊し、不安感情を煽り、口臭を強くしてしまうのです。 本文は『口臭を気にする女、気にしない男』(英智舎)より一部抜粋・編集しています。 画像提供:Adobe Stock