若者の意欲を削ぐのが生きがい…超高齢ニッポンで増殖する「老後に居場所をなくす人たち」の正体
権力の座に固執する人たち
役所と病院でなくとも、職場でも「老後と居場所問題」は発生している。 〈老後の居場所を創り出すために権力の座に固執する人もいる。社長を退いて会長になり、会長を退いて名誉会長になり、名誉会長を退いて相談役になり、相談役を退いて最高顧問になり、最高顧問を退いて名誉総裁になり……、突然社長に返り咲いたりする。相談役の人数が取締役の人数より多く、相談事が足りなくて取締役が困ったりする。 こういった人たちは自らの居場所を保持するために後継者を育てない。 もちろん形式的には次期社長を指名する。しかし後継者に肝心の事は教えないし株も渡さない。形式的な次期社長は常に相談役や名誉○○のお歴々の顔色をうかがうようになる。こうして大御所に対してはヒラメのように目を向けるが市場や社会に目を向けない、やがて衰退するジリ貧「ヒラメの大群型組織」の出来上がりだ。 権力を手放さない人たちは権力を手にしているだけ恵まれていると思われるかもしれない。しかし意外とそうでもない。 まず、後継者を育てられないと、そのうちに職務から降りたくなっても降りるに降りられなくなる。市場や社会を志向しない永続性が乏しい組織を作ってしまうことで、現役時代にせっかく築き上げた栄光が崩れ去るかもしれない。〉(『世界は経営でできている』より) 『世界は経営でできている』では、「老後が不安だといって、四十歳五十歳を超えてから慣れない株投資やFX投資を始める人」や「家は居心地が悪いし、散歩代わりに会社にくる人」の失敗について紹介し、どのようにすればこうした事態が回避できるのかを分析・解説している。 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部