2度目の世界挑戦のためにチャチャイ・トレーナー（左端）ら陣営と来日したWBC世界バンタム級1位ペッチ・ソート・チットパッタナ（同2番目）

　プロボクシングWBC世界バンタム級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ（30＝タイ）が亡き父にささげる世界王座奪取を誓った。 　14日、東京・有明アリーナで同級王者中谷潤人（26＝M・T）に挑戦するため、8日に成田着の航空便でチャチャイ・トレーナーら陣営6人で来日。中谷戦を想定し、約2カ月間で計130ラウンドのスパーリングを消化。バンコク郊外にあるタイパヤットジムで最終調整を重ねてきたという。 　ウエートもリミット（53・5キロ）まで残り500グラムと迫っており、減量面の不安もない。ペッチは「十分に準備してきた。KOできるかはチャンス次第だが、面白い試合をみせられると思う」と意気込んだ。タサーナ・サラパットのリングネームで18年12月、現WBA世界同級王者井上拓真（28＝大橋）とのWBC世界同級暫定王座決定戦に臨んだものの、判定負けで世界王座獲得を逃した。その後は28連勝を重ね、WBCランキングで到達した。 　ペッチは「リングネームの『ペッチ』の意味はダイヤモンド。磨いて光る原石なんだ。井上戦後、リングでの経験を重ねてテクニックを含めていろいろな面で成長している」と手応えを口にした。2年前、父ジャン・サラパットさんが56歳の若さで死去しており「お父さんに世界奪取を報告したい。家族にベルトをみせたい。母（ピーダーさん）には毎日連絡している」と言葉に気持ちを込めた。 　挑戦する王者中谷は28勝（21KO）無敗の3階級制覇王者となり「非常に強い選手だと思っている」と警戒。その上で「リングで対面しないと分からないが、すべての状況に対応できるように準備してきた」と2度目の世界挑戦に向け、静かに燃えた。 　ペッチを指導するチャチャイ・トレーナーは「中谷選手はバンタム級世界王者4人の中でも強いと思う。私が相手選手の動画で分析して戦略を伝える。その戦略はできている」と不敵な笑みを浮かべた。プロ戦績76勝（53KO）1敗という経験豊富なペッチに向け「経験だけでは勝てないが、中谷選手には経験で勝っている。ペッチは簡単には負けない。サウスポー同士の対決で面白い試合になる」と手応えを示していた。【藤中栄二】