週55時間は「働きすぎ」、世界で年間約75万人が死亡、「顕著な影響は約10年後から」現れる
労働環境と仕事の柔軟性も関係
労働環境は、長時間労働のストレスを増大させることもあれば、その健康リスクを打ち消すこともある。 研究によると、たとえば、作業のペースや引き受ける責任の数を自分で決められるなど、自身の労働環境をコントロールできる労働者は、そうでない労働者よりストレスが少ないという。これは、心臓病リスクの減少といった健康状態の改善につながる。 家庭生活の都合も含めて、必要に応じて仕事のスケジュールを柔軟に調整できる被雇用者は、そうでない人に比べて精神的により健康だ。この傾向は、毎週同じぐらいの時間働いている被雇用者についても当てはまる。 「労働時間や有給休暇とは無関係に、仕事の柔軟性そのものに、うつや不安との負の相関関係があります」と、米アーカンソー医科大学の研究者パール・マッケルフィッシュ氏は言う。「仕事にそうした柔軟性がある人は、柔軟性のない人よりも、不安やうつが少ないのです」 働くために生きるのではなく、生きるために働く場合には、週の労働時間をより短く、より柔軟にすることはだれにとっても恩恵なのだ。
文=Rachel Fairbank/訳=北村京子