「眠ると忘れてしまう」から睡眠を取らずにそのままテストを受けて…それって正しい?<眠り>を積極的に学習へ活用する方法
「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり認知(記憶、学習、思考など)を、高い視点からさらに認知することを指します。三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授によれば「メタ認知は自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>。活用次第で頭の使い方がグッとよくなる」だそう。先生の著書『メタ認知』をもとにした本連載で、あなたの脳のパフォーマンスを最大限に発揮させる方法を伝授します! 【書影】三宮先生が「頭」をよりよくする方法を伝授!『メタ認知』 * * * * * * * ◆ロングスリーパーだった私 著者の母は、勉強にはうるさくないものの生活時間についてはけっこう口やかましく、健康のために早寝早起きをするよう、毎日言い続けていました。 私は血圧が低く、早起きが苦手である一方、宵っ張りというタイプで、子どもの頃から常に注意を受けていました。 「この子に早寝早起きをさせることは無理」と悟った母は、今度はせめて睡眠時間を長くとるようにと言い始めました。就寝が遅くなった翌朝は、いつまでも寝かせておいてくれましたので、私にとっては大助かりでした。 実は、私はロングスリーパーであり、睡眠不足にとても弱かったのです。しかも眠ることが大好きときており、就寝中にさまざまな夢を見ることも楽しみの一つでした。
◆睡眠と頭の働きの関係に気づいて こうした体質や好みの問題とは別に、私はある時から、睡眠と頭の働きの関係に気づき始めました。 睡眠不足だと、まるで頭の中に霧が立ち込めているような状態で、頭が悪くなったように感じるのです。逆に、しっかり睡眠をとった翌日は、頭の中がすっきりと晴れ渡り、記憶力・思考力がよくなるという具合に、頭が活発に働いてくれるような気がするのです。 この頭の働きの違いは、授業中にいきなり指名されて先生の質問に答える時だけでなく、中間テストや期末テストなどの定期テストの時にも感じました。テスト勉強が少々準備不足であっても、前日にしっかり睡眠をとっておけば、何となく答えられるのです。 覚えるべきことをまったく覚えていない場合、完全に暗記を必要とする問題には無理でしたが、考えることで何とかなる数学のような科目では、睡眠の効果は歴然としているように思えました。
【関連記事】
- 工藤勇一校長「終わったらきれいに忘れる」テストに意味はあるのか…中間・期末テストを廃止した中学校で生徒に起きた驚くべき変化とは
- 成績のよくない子どもに見られる「関連付けできない」という特徴。丸暗記に頼らず「精緻化リハーサル」を意識するようになれば<最高の記憶術>が習得できる
- 工藤勇一校長が<服装の制約>と<宿題>を廃止した深い理由とは…「宿題がないと勉強しない」と話す保護者に僕が伝えたいこと
- 池上彰×佐藤優 木のてっぺんの甘いぶどうは「東京大学」?諦めたキツネを「みじめ」と断ずるのは大いなる勘違い…「すっぱいぶどう」が今に伝える教訓
- 金八先生以後に生じた「学校=悪という構図」「学校が良いサービスを提供して当たり前という考え方」…工藤勇一校長が指摘する<近年の教育現場が抱える問題点>とは