ウクライナ戦争が「きわめて21世紀的な戦争」だと断言できる「意外な理由」
ウクライナ戦争は「21世紀的な戦争」
西側諸国の「ゼレンスキー疲れ」は開戦から半年足らずで指摘されていたが、今日ではそれに加えて2023年10月のハマスのイスラエルに対する大規模テロ、そしてその後のイスラエルによるパレスチナに対する事実上の無差別攻撃が、西側諸国の市民の関心を集め相対的にウクライナへの関心を低下させている。 こうして考えたときウクライナの戦争は、断じて20世紀への逆行ではない。そこで進行しているのはきわめて、21世紀的な現象だ。 それは表面的には20世紀型のナショナリズムの衝突のもたらした、かつての正規戦への回帰として現れている。それは残念ながら、この30年に進行した時代の変化を不可逆なものだと認めたくない人びとの願望が見せている夢にすぎない。 「キーウの幽霊」という現象と、ゼレンスキーのプロパガンダ戦略の成功が示すように、これは情報技術に基づいたグローバルなプロパガンダが、それもトップダウンではなくボトムアップに構成されるものがもっとも強い力で情況を決定するきわめて21世紀的な戦争なのだ。 さらに連載記事<インターネットが実現した「多様性」を人々がこぞって捨て去ろうとしている「悲しき現実」>では、現代の情報社会が直面している問題点をわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
宇野 常寛(評論家)