京都FGや八十二銀に注目、資本政策巡る目線は厳格化-地銀株主総会
過去2年続いたシルチェスターからの株主提案を今年は受けていないが、積極的な株主還元が評価を得るか注目される。
株主への説明の必要性
一方、国際統一基準行から国内基準行への転換を求める株主提案をリム・ジャパン・イベント・マスター・ファンドから受けているのが、21日に総会を控える長野県を地盤とする八十二銀行だ。国内基準行となることで余剰となる資本を成長投資と株主還元に充てるべきだというのがリムの主張だ。
同行取締役会は、国際統一基準行であることにはメリットがあり、株価純資産倍率の低迷につながるものとは考えていないと反論。政策株を簿価純資産の10%未満にまで削減するなどのリムの他の全ての提案にも反対している。
米議決権行使助言会社のグラスルイスとISSは、国内基準行への転換を求めるリムの提案に対して、経営陣の判断に委ねるのが最善などとして、反対を推奨している。ただ、政策株の保有目的の検証と結果を開示することを定款に加えるよう求めた提案については、資本効率に関する規律を銀行に課すことになるとしてISSが賛成を推奨した。
他の地銀も政策株に関する株主への説明の必要性を意識し始めている。株主招集通知に政策株削減の取り組みを記載する銀行も近年増加した。今年初めて記載した滋賀銀行では「投資家との対話において、取締役選任議案の重要情報だと判断したため」と説明。名古屋銀行は「上場政策株式の縮減額目標を上方修正したため」とした。ブルームバーグの質問に対し、いずれも電子メールで回答した。
政策株を巡っては国内外の機関投資家で姿勢の違いがみられるとの声もある。SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、海外投資家の中には保有株式のもたらす配当収益についてポジティブに評価する動きもある一方、国内機関投資家はビジネスに悪影響を及ぼすと考えているところが多い印象だと説明。「政策株に対する売却計画だけではなく、中長期的な方針・方向性を示す必要がある」と述べた。