糖尿病、高血圧などの生活習慣病や認知症との関連も指摘<睡眠の質>。上質な睡眠のために行くべきは「歯医者」だった?歯科医「閉経後にリスクが高まる症状も…」
◆顎や舌、噛み合わせと睡眠の関係は深い 睡眠時無呼吸症候群は気道が塞がって起こるとお話しましたが、これは舌の後退、沈下などによって気道が狭くなり、空気が肺に届かなくなることによって引き起こされます。顎が小さいことや舌が大きいことなどが影響することも多いです。 一方、睡眠時ブラキシズムは元々の癖やストレスのほか、噛み合わせの悪さが原因と考えられています。 残念ながら睡眠時ブラキシズムを治す方法はありません。 睡眠時に使用するマウスピース(ナイトガード)が対策になると思われがちですが、むしろ口の中に噛む対象のものがあることで歯ぎしりの頻度が増えるといわれています。マウスピースはあくまでも歯のすり減りを防ぐためのものです。 睡眠時ブラキシズムを軽減するためにできることは、眠りに入る環境づくりです。落ち着いて眠れるように部屋を暗くする、寝る前のスマホや飲酒などを避け、リラックスした状態で入眠できるようにすることが大切です。 睡眠と歯科と聞くと意外な組み合わせだと感じるかもしれませんが、睡眠時無呼吸症候群やブラキシズムは口腔内との関係が深いことから、歯科で早期発見、早期治療することが期待されているのです。
◆睡眠時無呼吸症候群の治療とは 睡眠時無呼吸症候群の治療としてよく知られているものに、CPAP(持続陽圧呼吸療法)があります。 これは鼻マスクや口マスクなどで気道に空気を送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防ぐもの。CPAPは中等症~重症のケースに行うことが多いですが、患者さんには負担が大きい治療です。 そこで、いびきや軽症の睡眠時無呼吸症候群の治療として注目されているのが、MAD(下顎前方牽引装置)です。 こちらは就寝中、マウスピースを上下顎に装着し、下顎を前方に出した状態を維持することによって舌全体を前方に移動させ、睡眠中の気道を確保できるようにするものです。CPAPと併用することもあります。 そして、このマウスピースを装着できるか口腔内の検査を行い、作製するのが歯科の仕事となるのです。 但し、重度の歯周病や虫歯、顎関節症があったり、歯の破損や欠損があったりする場合は、治療が行えないことがあります。 また、マウスピースは保険適用ですが、これは他の医科で睡眠時無呼吸症候群と診断され、歯科を受診した場合になります。いきなり歯科を受診すると、自費診療になってしまうため、その点は注意が必要です。