「家計をやりくりしても全然追いつかない」50代・収入400万円世帯に密着して浮かび上がった“生活苦の正体”
知らないうちに家計を圧迫するサブスク
動画配信サービス大手・Netflixは、すでに11月から最安プラン(広告なし)を月990円から1190円と20%も値上げした。Disney+やアマゾンプライム・ビデオも同様の動きだが、サブスクは自動的に料金が引き落とされ、値上げに気づきにくい。さらに、契約が自動延長されるので値上げした料金を延々と払い続けることになり、ジワジワと家計を圧迫する恐れがあるのだ。 家計でもっとも大きなウェイトを占める住居費も、避けては通れない固定費の一つだ。現在、賃貸マンションに住む岩田さんはこう後悔する。 「子供が生まれて私が正社員からパートになり、世帯収入が下がったり、マンションが高騰したりで購入の機会を逃してしまった……」
住居費を削減する手は…
住居費を削減する手はないのか。柏木氏はこう助言した。 「近年、管理費や修繕積立金が倍ほどに上がり、購入したマンションを手放し、賃貸に移る人が増えています。通常、1階の物件は敬遠されますが、家賃が安いので好んで選ぶ人も増えている。ただ、家賃相場も上昇しており、まだ高騰していない郊外への引っ越しを検討するのも手です」 LIFULL HOME’Sによれば、東京23区のファミリー向き賃貸物件の平均家賃は1年で17%も高騰。だが、柏木氏が言うように、千葉、埼玉、神奈川の上昇率は10%程度にとどまっている。
老後の不安を和らげる方策
「夫が役職定年でボーナスもなくなり、収入が3分の2に。まさかこれほど激減するとは思いもしませんでした……。貯金は600万円しかなく、この先どうなることか」 老後の不安を和らげる方策を、柏木氏に聞いた。 「収入の激減に加えて、中小企業では退職金が出ないことも珍しくない。定年退職の60歳から年金を受給する65歳まで、多くの世帯の収入が落ちます。なので、夫婦2人で月20万円、5年で1200万円の生活費を用意しておきたい。前に述べた見えにくい出費を抑えるのは当然として、まず、同居の息子に自立してもらう。さらに娘が社会人になったら家賃の安い住宅に引っ越しして、奥さんのパートを増やすしかないですね……」 この国に生活苦が蔓延する現在、岩田さんのような家庭は決して少数派ではない。 生活苦の正体 新電力、サブスクなど見えない出費が家計をジワジワ侵食 【生活経済ジャーナリスト 柏木理佳氏】 NPO法人マネー・キャリアカウンセラー協会代表。新著『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』(三笠出版)ほか著書多数 取材・文/綾部まと 写真/PIXTA ―[一億総生活苦の正体]― 【綾部まと】 ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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