石破首相、党首討論で立民野田氏とがっぷり四つ 代表質問とは様変わり、自民の拍手まばら
石破茂首相は9日、立憲民主党の野田佳彦代表ら野党党首との党首討論に臨んだ。衆院解散に先立ち、時間を延長して行われた異例の論戦では首相が「国を守り、国民を守り、デフレ脱却のためには、私どもが政権を引き続き担うことが最も肝要だ」と政権運営を継続する決意を強調した。野田氏は自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件の追及を強めたが、首相は衆参の代表質問と打って変わって論客ぶりを発揮し、がっぷり四つの攻防戦を展開した。 ■「脱税、決めつけだ」と反論 「大半が公認だ。脱税まがいのことをやった人たちに（政党交付金で）血税が支払われるかもしれないというのは、国民感情から到底理解することはできない」 討論の序盤で野田氏が責め立てたのが、不記載議員のうち12人を非公認とした自民の判断だ。首相は6日の時点で「相当程度の非公認が生じる」と説明しており、野田氏は「言葉の使い方が間違っている」とやり玉に挙げた。 野田氏の主張に対し、首相は「脱税をしたということが立件されているのか。決めつけだ」と反論。「大変つらい決断だが公認しないという答えを出した。最終的な判断は主権者の国民にお任せをするが、私は（非公認が）甘いとは考えていない」と言い切った。 ■気迫の首相、まばらな拍手 また、野田氏が予算委員会を開かないまま衆院解散に踏み切ることを「ご祝儀相場があるうちに解散すれば勝てるだろうという思いから早期解散を決めた」と指摘すると、首相は「正々堂々と国民の審判を仰ぐ。これがわれわれの姿勢だ」と強調した。 野田氏は地震や大雨の被害を受けた石川県能登半島の復旧復興に向けた補正予算案を審議するため、重ねて予算委員会の開催を迫った。だが、首相は衆院選後に補正予算案の早期成立を目指すと説明し、理解を求めた。 首相は7、8両日の衆参の代表質問で、総裁選までの持論を封印し、手元のメモに視線を落として淡々と答える答弁が目立っていたが、この日は一転して野田氏をじっと見つめながら反論を繰り返した。ただ、自民は公認問題に揺れる最中だ。首相の答弁の気迫とは対照的に、議場の自民側の拍手はまばらだった。（永原慎吾）
