「選挙が終わったら石破おろしだ」萩生田光一氏ら “非公認” 組が激昂「裏金議員」がたくらむ衆院選後の “倒閣” 運動
10月6日、石破茂首相は記者団に対し、政治資金パーティーの収入不記載があった議員の次期総選挙での処遇を説明。裏金事件で「党員資格停止」の処分を受けた議員などを公認しない方針を明らかにした。 【写真あり】萩生田光一氏 “八王子育ち” の番長時代 政治担当記者がこう話す。 「不記載のあった議員も、当初は基本的に公認し、比例重複も認める方向でしたが、世論の反発を受け、方針転換せざるを得なかったということだと思います。 『党員資格停止』処分を受けた、下村博文元文科大臣(党員資格停止1年間、不記載額476万円)、西村康稔元経産大臣(党員資格停止1年間、不記載額100万円)、高木毅元国会対策委員長(党員資格停止6カ月、不記載額1019万円)の3人。 それに加えて『党の役職停止』処分が継続していて、政治倫理審査会で説明をおこなっていない萩生田光一元政調会長(役職停止1年間、不記載額2728万円)、平沢勝栄元復興大臣(役職停止1年間、不記載額1817万円)、三ッ林裕巳衆院議員(役職停止1年間、不記載額2954万円)の計6人が非公認になる見込みです」 また、石破首相は不記載があった議員は、公認する場合も比例代表の重複立候補は認めないとしている。 選挙区で負けても、比例重複で立候補していれば、惜敗率によっては比例で復活当選できる可能性が残る。だが、比例重複が認められないということは、「有権者からきちんと信任されよ」という意味だろう。とはいえ、比例重複ができないとなれば、与党自民党の候補者と言えども、かなり厳しい戦いになることが予想される。 「不記載議員のうち、党の役職停止処分または戒告処分をうけた議員で、地元で十分に理解が得られていない場合も非公認になる可能性があります。最終的には、非公認が10人ほど、重複立候補が認められないのは30人ほどになるとみられています」(同) これら立候補者の扱いについては、10月9日の衆院解散の前に、自民党選挙対策本部で正式に決定する見通しだという。 そうした状況のなか、出馬をあきらめる議員も出てきている。 10月7日、越智隆雄元内閣府副大臣(東京6区)は、国会内で「有権者に説明して理解していただくには短期間では難しく、立候補は控えるべきだと判断した」などと述べ、出馬を断念したことを明かした。 「越智議員の不記載額は84万円です。前々回の2017年衆院選では惜敗率98.3%、前回2021年衆院選では惜敗率95.8%で、いずれも立憲民主党の落合貴之衆院議員に負け、比例復活当選しています。 前回に比べ、逆風のなかでの戦いになりそうですから、比例復活できないのなら白旗を上げるしかない、と判断したのかもしれません」(同) 10月27日投開票の衆院選に立候補予定者のうち、いわゆる自民党の “裏金議員” は48人(10月8日現在)いるが、2024年2月に解散した「旧安倍派」の議員が多くを占めており、彼らからは、石破首相の方針に猛反発が起きている。 「非公認や比例との重複立候補を禁じられた議員にとって、影響は深刻です。選挙で公認を受けた候補者には、党から公認料として活動費が支給され、所属議員から支援を受けたり、選挙運動の人員をサポートしてもらったりすることができます。 しかし、非公認では、これらのメリットが得られず、“無所属” として、たったひとりで戦わざるを得なくなるわけです。 また前回、野党候補に迫られた議員や選挙区で勝てなくとも比例で復活した議員にとっては、重複なしはまさに地獄とも言えます。落ちれば “ただの人” ですから。 特に “安倍チルドレン” など、選挙に不安のある中堅・若手議員が多い旧安倍派を中心に『すでに処分が終わっているのにゴールポストを動かすようなもの』『旧安倍派潰しだ』といった怨嗟の声があがっています」(同) もちろん、今回の石破首相の判断については、旧安倍派議員以外からは、評価する声が多いという。自民党のベテラン秘書が話す。 「先生方のなかには、『非公認や比例重複なしをやらなかったから、もっとひどいことになる』と話す人も少なくないですね。むしろ、石破さんの決断を評価する声のほうが多い印象です。公明党さんからも『これなら自民党を応援できる』という評価をいただいていると聞いています」 現在の自民党内の様子、そして衆院選後の動きについて、政治部デスクがこう言う。 「非公認となる議員も、党員資格は有したまま。執行部の狙いとしては、非公認としながらも、該当選挙区には刺客を立てず、選挙を勝ち上がってきたら『禊がすんだ』として、党内の活動を普通に認める形になるのでしょう。 選挙後に『追加公認』という形を取り、国会では自民党会派として認めることが想定されます」 ただ、非公認になりそうな旧安倍派や旧二階派の議員の “石破憎し” の気持ちは強いという。選挙後に党内抗争が起こる可能性を、前出のデスクが指摘する。 「石破政権が短命になるという認識のうえで、現在、非公認が決まった6人全員が『選挙が終わったら “石破おろし” だ』と息巻いていますよ。ただ、党内ではそれに冷ややかな視線も多い。 旧安倍派は最大派閥で、これまで逆らうことがなかなか難しかったのですが、今回の自民党の支持率急落は『そもそも旧安倍派の前代未聞の事件のせいだ』と考える議員が多く、それが総裁選での石破勝利につながったわけですからね。 党内に緊張関係はありますが、多くの議員はまず『自民党』という政権を維持できる大きな枠を守るべきと考えているようです。総選挙後の “倒閣運動” はなかなか広がらないと思いますけどね」 なびくも倒すも、まずは “当選” あってこその話だがーー。