フランス、欧州委人事で要職狙う-副委員長にセジュルネ外相か
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会の副委員長に、近く退任予定のフランスのセジュルネ欧州・外務相が就任する可能性が浮上している。事情に詳しい関係者が明らかにした。EUの競争力強化に向けた取り組み全体を監督する立場で、フランスがEU内で影響力のある地位を確保できるようマクロン大統領が協議を進めている。
匿名を条件に語った関係者2人によると、セジュルネ氏(39)は、欧州委員会で繁栄と競争力に関する重要なポストを担当することになる。ドラギ欧州中央銀行(ECB)前総裁が先週発表した報告書で、欧州の「緩慢な苦しみ」を避けるべく、巨大な単一市場を生かし、金融業界の統合を進めるための鍵として指摘した分野だ。
フォンデアライエン欧州委員長は、17日に欧州委員会の新人事を発表する予定だが、具体的な内容はまだ変わる可能性がある。関係者によると、さまざまな重点分野を監督する副委員長を3人置く案が検討されている。
マクロン氏は、今回の欧州委員会人事を通じ、EUの経済、産業、防衛能力を、米中のような、支出と実績ですでにEUを上回る国々に対抗できるものに変革する方法を掌握するという功績を挙げる可能性がある。
こうした動きは、フランス出身のブルトン欧州委員(域内市場担当)が辞任を表明し、次の任期は続投しない意向を示した後に明らかになった。率直な物言いで影響力もあるブルトン氏は、16日の朝に公開した辞表で、フォンデアライエン氏に対する批判を展開した。
フォンデアライエン氏はX(旧ツイッター)で、欧州委員会のベステアー上級副委員長(競争政策担当)が、新体制が発足するまでの間、ブルトン氏の職務を暫定的に引き継ぐと述べた。
欧州委員会と仏大統領府の報道官は、欧州委員会の人事案について、コメントを控えた。
マクロン氏の側近であるセジュルネ氏が、ブルトン氏と同等の影響力を持つかどうかは未知数だ。セジュルネ氏は今年、史上最年少で外相に就任したが、フランス国内での知名度は低い。