さくらえみが語るAEWでの挑戦、世界を目指す選手に「私が経験した全て答えをみんなに教える」
「AEWは初めての人にリーチするということの方に比重をすごく置いています」
8月31日(土)に8年ぶりの後楽園ホール大会を開催する我闘雲舞の代表で、現在はアメリカに拠点を置き活躍しているさくらえみ。 【動画】さくらえみと里歩がAEWでシングルマッチ 前編では8年ぶりの後楽園ホール大会開催について、スーパーアジア選手権で駿河メイの挑戦を受ける意気込みなどを語ったが、後編ではAEWでのやりがい、世界へ行ける選手、所属選手が世界の舞台登場などについてなどを明かした。 ■インタビュー後編 ①AEWでの仕事のやりがい ――AEWでの仕事のやりがい、この辺はいかがでしょうか? 何もかも、やっぱり違います。規模が当然違うので、人が多すぎて同じ日に会場に行って挨拶すらできない人もいるんです。でもアットホームさはあります。業務連絡がいっぱいメッセージで流れてきてルールはどんどん変わります。日本で「AEWってすぐルール変わるんだよ」とか言うと、またトップが振り回して、ととらえられそうじゃないですか。でもそうしないと一斉に何かを、同じ場所に居ないのに200人でできるわけじゃないですよね。大企業というものを私はプロレスラーになってから、社会に出てから1回も経験したことがないんですけど、こういうことなんだなって思います。自分で情報を取り逃したら、例えば『何時から血液検査があります』というのを取り逃したら試合できなくなります。 ――試合に出られないってことですね。 はい、そうです。州によってルールがすごく違うので、そのルールを全て把握するのは大変です。あとAEWで私がすごくいいなと思うのは、ボランティア活動に自由に気軽に参加が気軽にことです。『参加してください』とか強制が一切ないんですよ。『したい人は行ってください』。例えば『バスケットボールチームで試合を2チームつくりたいので10人募集してます』とかはあるんですけど、学校や病院に慰問で行きますとなったときに『火曜日、大会前日に入りしてる人で、もし参加したい人がいたらどうぞ』みたいな感じで。誰々さんしばらく参加してないので絶対に来てくださいなどはないです。AEWコミュニティというチームがあるんですけど、報告として写真など上がっている選手たちは全員やりたくてやってる。募集がどんどん入ってくるので、それにイエスを言うだけで簡単に社会貢献できるというのは、ハードルがグッと下がります。チームには本当に感謝してます。 ――地域のコミュニティとの結びつきがしっかりあるということなんですか? 地域とのコミュニティはめちゃめちゃあります。イベントに呼ばれたり、会社訪問したり、常に誰かがどこかで何かしています。会場ではテレビの世界なのでテレビで起きたことがすべてなんですけど、テレビに乗ってない部分、ショーとショーの収録の合間に地元の選手がリングに上がって「みんな元気?俺たち今まで100人の規模で試合してたけど今日は1万人、夢みたいだ」と言ってパートナーに張り手して夢じゃないぜって笑わせてくれたり。今日誕生日の人会場にいる?って呼びかけてみんなでバースディソングを歌ったり。ショーの合間に地元をフォーカスしたトークをしたり、そういうところが好きです。 ――AEWでは日本と比べると、観衆の数が圧倒的に違うのかなと思います。その辺りはいかがですか? そうですね。私が天狗になったなと思ったのは、ほとんどの会場でアリーナがあって2階席があって3階席があるんですけど、2階席までしかない日があったんですよ。「あれ!?い」って、たぶん8,000人くらい入るところに対して「今日、狭いね」って思ったことがあって。そのときに自分自身に、私、天狗だって思いました。 ――毎回それくらいの会場の規模っていう感じですよね。 そうですね。スタッフもハードです。。移動だって毎回飛行機で3時間、毎週6時間以上かけている人もいます。移動、移動、移動。朝から晩までショーやって、全部SNSで上げ続けるとか。終わりがないです。ソーシャルメディアチームとかはかなり大変だと思います。SNS、悪ですね、やっぱり(笑) ――大変ですよね。でもそれくらいファンの皆さんが常に情報を求めてるっていう部分もありますし、情報を出すことによって今、自分の推しの選手がどういう活動をしているのか見たいという気持ちが働きますよね。 そうですね。どうしても私たちってファンに喜んでもらいたいという気持ちが強くて、深く深くなってしまうじゃないですか。初めての人にリーチするということの方に比重をすごく置いています。例えば私たちだったらケニー・オメガとか誰でも知ってるじゃん、と思うんですけど、ちゃんと初めましてのプロモーションをするんです。オスプレイでも私たちにとってはみんな知ってるし、メインイベンターとして知ってるんですけど、「やあ、俺はオスプレイだ」って必ず自己紹介を入れて活動するというのをやっているので。そういった意味では私たちはどうしても今いるファンに目がいきがちなんですけど、今回取材していただいたよう、初めての方たちにどんどん知っていただくというのも大事だなって、改めて思っています。 ――試合前、試合後のファンとの触れ合いみたいなのっていかがですか? それがないんですよ。PPVとか大きい大会の前だすとイベントがあったりもします。 ②世界に行ける選手とは? ――世界に行ける選手、行けない選手ってどういう差があるんでしょうか? 差はないし、正解はいつだってないと思います。本当にこれはシンプルに。そういう答えが聞きたいんじゃないんだよって思うと思うんですけど、まずパスポートをとること。そしてInstagramを開設することです。プロフィールに「ブッキングはこちら」って書いておく。試合したいプロモーションにコンタクトする。 失敗したりすることも多いと思いますが、どこかから王子様は来てくれないです。もちろん、今、団体に所属していたらルールがあるのとも思うので、それを無視するのはだめです。 ――本当の意味での個人商売なんだっていうところを思いきり出されているということですね。 もちろん、団体所属して新人として一生懸命頑張っている人たちは、まずその団体で頑張るべきだと思います。その団体に1人か2人、絶対いるじゃないですか、海外で試合したことがある選手。やり方を聞いて。とにかく認められたら行けるというような資格制度はない、行った人が行った人なんじゃないかなって思います。。私もよく「さくらさんはすごいから」みたいに言われるんですけど、私はアメリカに住むという選択肢を持ってインターネットで家を探して契約したからいるだけだっていうことなので。 ――選択する意思決定力ですね。 もし夢を知る前に諦めるような人がいたら、今ならできるからっていうのは言いたいです。先にメキシコに行ってから日本デビューする選手もいますよね。10代とか20代で先に海外に行ってしまって英語を話せるようになったり、コミュニティをつくったあとに日本に来るとか。いろいろなデビューの形ができていて、本当にプロレスが面白いですよ。 ――やっぱりプロレスってワールドワイドで世界と繋がってる職業だなというのは思います。 そうですね、本当に。 ――ある意味、体1つ、コスチュームを持っておけば、自分を世界にアピールできるということですね。 何でもできます。アメリカに行く前に、悩みがありました。名前の事です。日本だと「さくら」も名前っぽいし「えみ」も名前っぽいじゃないですか。「えみ さくら」になるのか、でもアメリカでもさくらって呼ばれたいから、さくらをファーストネームみたいに「さくらえみ」で通すのか、半年くらい悩んでたんですよ。で、行った瞬間に「HiEmi」って言われて一瞬で答えが出ちゃった。悩む前に行動したら、多分どんどんどんどん答えが出てくるから。そのあとにまた行動したり考えたりすればいいんじゃないかなって。あの半年は本当に何だったんだって思うくらい。みんなに何度も相談していたので謝りたいです。 ――そういうことを今言えるというのも、今までの過去があって実際やってこられたから、さくら選手の行動力というのはなかなか他のレスラーの皆さんが持っていない、ご自身の強みになってるんじゃないかなと思います。 それがもし強みになるのであれば、我闘雲舞でやってることは、私が経験した全て答えをみんなに教えると。みんなのもちろんデビュー1戦目、1か月目とかそういう区切りは大事にしつつ、答えを知った上で私がかかった年月かかったらもったいないし。何十年もやるものじゃないので、プロレス。そこから新しいものをつくってほしいなと思うんですよ。それを駿河メイは6年間やり続けてくれました。デビューして1か月でもういきなりタイ遠征に行ってるので。みんな、見つけていく作業、悩む作業はとりあえず置いておいて。答えを知った上でそこから新しい悩み、今まで経験したことのないことをどんどんつくってほしいなっていうのを考えて、私はこの我闘雲舞という団体をやっています。