チャットでオーダーメイドの海外旅行プランを手配できる「Oooh」って? 担当者に聞いてみた
世界60か国以上のオリジナル海外旅行プランを手配できるオンライントラベルサービス「Oooh(ウー)」は10月28日、AI翻訳機能の提供を開始した。日本語で入力した質問や要望を自動で英語に翻訳するので、世界各国の現地旅行会社と、よりスムーズに旅行プランの相談ができる。 【画像】Oooh株式会社 取締役 兼 COO 山上哲平氏 これに伴い、同社の取締役 兼 COOの山上哲平氏に、サービスの特徴や今後の展望を伺った。 山上氏によると、「パッケージツアーをはじめとする従来の海外旅行モデルは、旅行者の多様化するニーズに対応できない面があることから、2018年初頭にOoohの開発に着手した」という。 具体的な課題として、「旅程が決まったツアーだと、“本当に行きたい旅行プラン”を実現できない不便さがある。一方ですべての行程を自分で手配すると、現地での不安やリスクが高まる可能性も考えられる。 また、日本の旅行会社が提供する従来のカスタマイズツアーは、旅行代金が高くなりがちなうえに、旅行者・日本の旅行会社・現地の旅行会社の間で伝言ゲームのようなやりとりが発生し、手配が完了するまで多くの時間を要する」と説明した。 サービス開始は2019年11月。その後、新型コロナウイルスの影響により一時中断し、2023年6月ごろからあらためて本格的に展開している。 Ooohでは、申し込み時に回答するアンケートの内容をもとに、現地の経験豊富な“旅のコーディネーター”(旅行会社)とチャット形式で旅行プランの作成・手配が可能。行き先・移動手段・旅行先での体験、すべてを自由に選べる新しい旅行スタイルを提案する。 旅程の詳細について現地の担当者と直接連絡を取り合うことで、カスタマイズツアーよりも早く正確に検討できるうえ、「さらにニッチな体験を追加したい」「この目的地はもう少しゆっくり滞在したい」といった細かなリクエストも可能。 また、時差や文化の違いがあっても円滑にコミュニケーションを行なえるよう、常時「Ooohコンシェルジュ」がチャットの内容を確認してサポート。情報のやりとりにミスがないよう、旅行会者向けに旅行管理システム(問い合わせ管理、旅程表の作成、申し込み、決済、バウチャー管理など)も提供している。 さらに、今回導入したAI翻訳機能により、日本語しか話せない旅行者も世界中のコーディネーターへタイムリーに英語で相談できるようになった。 サービスの利用について、旅行プランの相談は何度でも無料。申し込みから一次提案までの所要日数は、1日以内が約4割、3日以内が約7割となっている。 旅行代金の支払いは、銀行振り込みとクレジットカード決済に対応。1件あたりの単価は全世界の平均で60万~80万円。アフリカや南米が平均を押し上げており、アジア(タイ)の場合は20万~30万円に収まっているとのこと。 またOoohでは、1人または少人数のグループに対して現地のガイドやドライバーが同行するケースが多いため、どうしても10人単位のパッケージツアーに比べて1人あたりの料金が高くなってしまう。 ただし適正価格となるよう、提案内容をコンシェルジュが確認するうえ、あまりにも高額な場合は、別の旅行会社に再提案をお願いしているという。 直近では、2名で200万~400万円と高単価プランが売れる事例も増えているが、利用者の90%以上がサービスに満足しているとのこと。 旅行プランの目的地は、世界60か国以上に対応。利用者は20~40代の女性が全体の4割を占め、アジアやインド、円安の影響が少ないエジプトが人気となっている。 パーティ構成は女性の1人旅が22%、続いて男女複数が21%。女性の1人旅が多い背景として、山上氏は「グループで行きたい目的地がある一方、物価高や円安の影響から同じメンバーでの旅行が叶わないパターンや、インド映画の聖地巡礼など仲間を探すのが難しいケースが一般的に増えているのかもしれない」と説明。 続けて「Ooohには質のよいコーディネーターがいるのはもちろん、現地のガイドや専用車を細やかなところまで手配している。例えば空港や電車での移動先へクルマで出迎えるだけでなく、ガイドが駅のホームまで同行するなど、安心安全な状況を確保するよう努めている」とアピールした。 また旅行中の体調不良、天候不良によるアクティビティの延期・キャンセルなども現地の旅行会社が柔軟に対応するとのこと。 今後のサービス展開について、山上氏は「旅行会社向けの管理システムをより充実させることで旅行業界全体のDX化を支援する」としている。 また、Ooohに似たサービスとして、欧米の「kimkim」「Zicasso」を挙げ、「アジアにはまだ大きなライバルがいないものの、今後同じようなビジネスモデルが広まっていくとみている。Ooohが世界中に持っている“旅行のプロ”とのつながりをもとに、タイからアフリカ、インドからアメリカなど日本発着以外の利用者も取り入れて、いずれは日本人がまだ目にしたことのない目的地や旅行体験を提供したい」と意欲を見せた。
トラベル Watch,編集部:丸山花梨