「孤立する人がいない、あらゆる人に居場所と出番がある」福岡県北九州市の注目のまちづくり[FRaU]
頼れる家族がいないなら、みんなで身内になればいい。あるときは頼り、反対に頼られることもある。そうした関わりを通して、人と人とがつながり、まちになっていく。 「例えば『希望のまち』のカフェでお茶を飲んでいて、元ホームレスの人と隣り合わせることも日常的にあるでしょう。その時、自分はなんで今仕事ができてるんだろうって考えると思うんです。自分はたまたま恵まれていただけだ。目の前にいる人は自分だったかもしれないって、そういう気づきを持てるだけでも意味がある。その積み重ねの先に、社会や地域が変わっていく可能性がある」
助けられる人と、助ける人。その間に確固たる分断線は存在しない。誰もが助け助けられて、お互い様と思える。そんなまちの姿が2025年4月、北九州市に誕生する。間違いなくそれは、この先の社会や地域のあり方を問い直す大きなきっかけになるはずだ。 奥田知志(おくだ・ともし) 1990年、福岡県東八幡キリスト教会牧師として赴任。学生時代からホームレス支援に携わり、現在は北九州市で生活困窮者を中心とした伴走型支援を行う認定NPO法人抱樸の理事長を務める。著書に『伴走型支援』(有斐閣)など。 ●情報は、FRaU2024年1月号発売時点のものです。