レゾナックが海洋プラごみのリサイクル工程を披露、CO2フリー電力活用のホテルも紹介
川崎事業所におけるプラスチックごみのリサイクル工程
川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクル事業では、破砕成形工程、ガス化工程、精製工程、アンモニア製造工程の4工程によりプラスチックごみのリサイクルを行う。 破砕成形工程では、回収された使用済みプラスチックをコンベヤーにより破砕機に投入し破砕した後、金属選別機を用いてこの使用済みプラスチックから異物を除去する。異物を除去した後、この使用済みプラスチックを成形機により成形プラスチックに加工する。 ガス化工程では低温ガス化炉と高温ガス化炉により成形プラスチックをガス化する。低温ガス化炉では、少量の酸素と蒸気をガス化剤として利用するとともに、熱せられた砂を循環する「流動床炉(圧力1Mpa、温度600℃)」を用いて、成形プラスチックを熱分解および部分酸化し分解ガスとする。また、金属選別機で回収しきれなかった細かな金属は未酸化状態のまま炉底から回収される。 高温ガス化炉では、低温ガス化炉で生成したガスを、1400℃の温度下で少量の酸素と蒸気により熱分解および部分酸化し、水素と一酸化炭素(CO)を主体とする合成ガスに改質する。高温となった合成ガスは高温ガス化炉底部の冷却室の冷却水により瞬時に冷却され、この工程で生じる、冷却された灰は水砕スラグとなり炉底から回収される。 なお、両ガス化炉は、最初に昇温する際にガスを使用するが、昇温後はプラスチック自身の分解熱を利用して温度を保つため化石燃料を使用しない。
水素はアンモニア製造設備の合成塔で窒素と合成されアンモニアへ
精製工程では、ガス洗浄設備やCO転化設備、脱硫設備を用いて、ガス化工程で生成した合成ガスから不純物を取り除く。ガス洗浄設備では、合成ガスをアルカリ水で中和し塩に戻して洗浄する。この工程により不純物を除去した合成ガスを、CO転化設備で350℃まで加熱し水蒸気と反応させ、水素とCO2に転化する。続いて、水素とCO2が主体となった合成ガスに含まれる、ゴム類などに由来する硫化物を脱硫設備で硫黄に戻し取り除く。 精製工程で不純物を除去し水素とCO2が主体となった合成ガスは圧縮された後、川崎事業所内のアンモニア製造設備へと送られる。アンモニア製造工程では、アンモニア製造設備の脱炭酸塔で合成ガスをCO2と水素に分解し、CO2はグループ会社のレゾナックガスプロダクツへ運搬され炭酸飲料用やドライアイス用の炭酸ガスとして利用される。大部分の水素はアンモニア製造設備の合成塔で窒素と合成されアンモニアとなり、環境調和型アンモニア「ECOANN(エコアン)」として販売されている。一部の水素はそのままニーズのある企業に供給されている。