【マイルCS】有力血統「ハービンジャー」を内包するナミュール 海外馬チャリンも血統面から解説
有力馬の血統を解説
・ブレイディヴェーグ 母インナーアージは二冠牝馬ミッキークイーンの全姉で、母自身も芝1600~2500mで4勝を挙げた中距離馬です。スレンダーな体つきは母譲りで、ロードカナロア×ディープインパクトという主流配合にNureyevの5×5など欧州血脈の仕掛けを併せ持つ点も◎。ただ、トモが薄い中距離馬体型から、マイル戦では展開の助けがほしいところです。 ・ナミュール 近年、勢いに乗るヴィートマルシェ牝系に属し、半兄ヴェスターヴァルトは2020年ファルコンS3着馬、半妹ラヴェルは今年のエリザベス女王杯2着馬、半妹アルセナールも同年クイーンC2着馬という良血牝馬です。ノヴェリスト、キタサンブラック、エピファネイアとすべて異なる父の産駒ながら、このきょうだいが見せる爆発的な末脚がヴィートマルシェ牝系の良さといえるでしょう。ハービンジャー産駒の本馬も同様です。 本馬は1600~2000mが主戦場の差し馬で、舞台適性はメンバー随一。ゲートに課題は残りますが、連覇の可能性も決して低くありません。 ・チャリン ヨーロッパのスピード豊かな牝系に属し、Ahonooraのインブリードやデインヒルを併せ持つDark Angel産駒という点は今年の高松宮記念の覇者マッドクールと共通します。トレーナーが違えばスプリンターになっていた可能性も高く、潜在的なスピード能力はメンバー中屈指の一頭です。 とはいえ、ヨーロッパのマイルGⅠでは上がり3F33秒台前半の末脚を披露しており、京都芝1600mでの末脚勝負でも十分に通用するでしょう。 ライタープロフィール 坂上明大 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
坂上明大