「苦情で公園廃止」〝炎上〟した長野市が手順明文化、広報見直しへ 市長「教訓生かす」
長野市の公園が近隣住民による騒音苦情をきっかけに地元への十分な説明がないまま廃止されたと指摘された問題を巡り、同市は一連の対応で庁内の情報共有や連携が不足していたなどとして、改善策をまとめた。苦情を訴えた人の個人情報に対する配慮も足りていなかったことも踏まえ、ルールや手順の明文化、広報活動の見直しなどを進めていく。荻原健司市長は「教訓を生かし、市政に対する信頼が増すよう、全庁挙げて改善に取り組んでいく」としている。 【写真】廃止された長野市の公園「青木島遊園地」 ■メディア、SNSで拡散 問題となったのは、住宅地の児童センター隣に作られた公園「青木島遊園地」(令和5年4月廃止)。「子供の遊ぶ声がうるさい」という近隣住民1軒の苦情で廃止が決まった印象が市民の間に広がったことで市の対応が問題視された。SNSやメディア、議会で大きく取り上げられて拡散し、〝炎上〟した。 市は、何が問題だったか検証して今後に生かすため、西沢雅樹副市長を委員長とする庁内検討委員会を発足。中立的な立場の観点を得るため、学識経験者3人を外部委員として委嘱し、調査、検討にあたってもらった。 外部委員の報告書や市によると、公園は地元の要望で計画され、場所選びや用地交渉、近隣住民への説明なども地元主導で行われた。20年前の平成16年4月に開設された当初は、児童センターや近隣の保育所、小学校から子供たちが毎日40~50人が集まり一斉に遊ぶような公園になった。 ■「苦情が理由」を否定 しかし近隣住民の宅地にボールが飛び込んだり、大声や花火による騒音などが発生したりして問題化。4年後にボール遊びや花火が禁止されて苦情がなくなった一方で利用する子供が減り、草刈りなど担っていた児童センターは29年ごろから活動を引き受けられないと市に相談した。 そんな状況にあった令和3年3月、騒音苦情が約10年ぶりに寄せられた。公園を所管する市の公園緑地課など関係課、近隣施設、地元の代表者らで協議を開始。実質的に公園が子供たちにほとんど使われておらず、借地料もかかり、地元から廃止の要望が出されたことなどから、4年1月に公園緑地課長の決裁で廃止が決まった。 騒音苦情は廃止につながる協議のきっかけにはなったものの、決定理由には位置付けられていなかった。しかし市は誤解をなかなか解消できず、苦情を訴えた近隣住民や、市に対して批判的な意見が相次いだ。