PEファンド、売れない企業は立て直せ-専門家採用で価値増大図る
(ブルームバーグ): プライベートエクイティー(PE、未公開株)に投資するM&A(企業の合併・買収)ファンド大手は、買収した企業の経営に実際に乗り出すという昔ながらの方法で利益を上げるケースが増えている。
PE投資会社にとって、金融工学は以前ほど有効な手段ではなくなっている。ゴールドマン・サックス・グループやブラックストーンなどの大手の中には、ウォルマートやハネウェル・インターナショナルといった実業界大手で経営経験を持つベテランを新たに迎え入れているところもある。
一方、世界2位のオルタナティブ資産運用会社であるカナダのブルックフィールド・アセット・マネジメントやスイスのPE投資企業パートナーズ・グループは、さらに経営者としての原点に立ち返っている。
こうしたスポンサー企業は、見えにくい「マルチプル拡大」ではなく、例えば利益率の拡大やキャッシュフローの増加といったより具体的な結果を目指している。
所有する企業のために5年、10年単位の戦略的成長計画を策定し、時にはその企業のマーケティングや販売を手助けするなど、より実践的なアプローチを取っている。
ゴールドマンは具体的な数字を挙げることは避けたが、そうした取り組みが数億ドルの追加収益をもたらしたとしている。
元シアーズ・ホールディングス最高経営責任者(CEO)でゴールドマンの非公開保有企業の成長促進部門を率いるルー・ダンブロシオ氏は、「企業の健全な運営を支援することは、常に重要な取り組みであるべきだ」とした上で「しかし数年前までそれは『あればいい』というものだった。今では『なくてはならない』ものだ」と語った。
利益率の向上
PE投資会社はM&Aの低調と、過去の平均より3年も長い企業保有期間に直面し、経営改善の取り組みが不可欠になった。金利が底だった時期には有利に思われた買収も、債務コストが重しになり良い取引がない。一方で、PEファンドの顧客は遅れている資金返還を求めている。