PEファンド、売れない企業は立て直せ-専門家採用で価値増大図る
ケンブリッジ・アソシエイツのグローバルプライベート投資責任者アンドレア・アウアーバッハ氏は、「2021年に行われた投資には多くの課題が生じた。マルチプルの拡大を期待することはできない」と述べた。
同氏のチームは、年金基金や寄付基金などの投資家を代表して、毎年約150億ドル(約2兆2000億円)をプライベート市場の運用会社に配分している。
PE投資業界では、マルチプル拡大とは企業の価値がその基盤となるファンダメンタルズをはるかに上回って上昇することだ。
だが、投資家はそれが継続すると期待することはできない。マッキンゼーの調査によると、昨年時点でマルチプルは縮小している。
そのため、PEファンド運用者はより優れた業務運営によって一貫して収益性を向上させられるか、アウアーバッハ氏の表現を借りれば「何をすべきかを知っている人材を追加しているか」を問われている。
代替投資に関するコンサルティングを行うCAISグループは、プライベートキャピタル協会のデータを分析し、増収と利益率の向上は08年の金融危機後の10年間において、マルチプル拡大のほぼ2倍の価値を追加したことを突き止めた。
06-19年の10億ドル未満の案件を対象としたプレキンの調査でも、売上高と利益率の改善による利益が、マルチプル拡大を上回るという結果が出ている。
採用した人材が計画を策定し実践するには何年もかかるため、最近の採用がもたらした影響を完全に評価するにはまだ時期尚早だ。
しかし、製造業者や流通業者にアドバイスを提供しているTBMコンサルティングによると、業務支援の需要は今年1-6月(上期)に前年同期比で2倍以上に増加したという。
採用された人材は、企業のテクノロジーやデジタルデータ、人的資本、財務を深く掘り下げて調査することが期待されていると、人材紹介会社リースウェート・インターナショナルのパートナー、クリス・スミス氏は述べている。