PEファンド、売れない企業は立て直せ-専門家採用で価値増大図る
変化
パートナーズ・グループとブルックフィールドが最初に始めたこのアプローチのメリットに、今では他の企業も注目。「以前はより取引中心で、投資機会を見つけることが主眼だった」とパートナーズ・グループのデービッド・レイトンCEOは指摘し、「業界は変化していて追い風は以前ほど強くはない」と語った。
変化を察知したパートナーズ・グループは、1年前にウルフヘニング・シャイダー氏をPE部門のトップとして迎え入れた。レイトン氏によれば、同社の「PE部門責任者はPE取引を行ったことは一度もなく」、その「考え方は取引担当者ではなく事業運営者のものだ」という。
シャイダー氏は自動車部品で知られるドイツの巨大エンジニアリング系多国籍企業、ロバート・ボッシュとマーレで36年間勤務していた。
ヘッドハンティング会社コーン・フェリーの上級顧客パートナー、ケート・ロマノビック氏は、大手PE投資会社の投資先企業の売上高増加を支援するため、商業経験のある経営幹部を紹介したところだ。
新型コロナウイルス禍後の過剰刺激経済では、消費者がためらいなく商品を購入したため、企業は「商品を売る必要がなかった」が、「今は本当に努力が必要だ」という。
別の企業は、金利上昇によりポートフォリオ企業の取引や保有、売却を巡る経済学が劇的に変化したことで苦境に立たされている。
TBMのグローバルPE担当副社長のゲーリー・フーバー氏は、貸し手の定める最低基準を満たし、デフォルトを回避できるよう、キャッシュフローの改善を支援する専門家を投入していると話した。
「クライアントの多くが、非常に具体的な要望を持ってわれわれを訪れ、EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の改善を直ちに実現する必要があると訴えている」という。
ただひたすら努力
ブルックフィールドは22年にエイドリアン・レッツ氏をPEグループの事業運営責任者に迎え入れ、投資先企業のモジュラー・グループの指揮を執らせた。