【毎日書評】「要領がいい人」がやっている効率的な時間の使い方
過去にも著作をご紹介したことがありますが、『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(石川和男 著、明日香出版社)の著者は、建設会社役員・税理士・大学講師・時間管理コンサルタント・セミナー講師など、9つもの肩書を持っている人物。 そうでありながらプライベートも充実し、休息も大切にしながら毎日を楽しく過ごしているというので、まさに本書のタイトルどおり“要領がいい人”ということになるのかもしれません。 しかし実際のところ、本当にそこまで要領よく日常を楽しむことが可能なのでしょうか? 可能なのだとしたら、具体的になにをどうすればいいのでしょうか? それは、仕事を要領よくこなすことです。 要領よくできなければ、他の仕事に影響が出たり、パーティーをキャンセルしなければならなくなったり、最悪の場合、睡眠時間を削る羽目になってしまいます。 そのため、「どうやったら効率よく仕事を終わらせられるか」を常に考える習慣が身についています。(「はじめに」より) もともとは「要領が悪い人」だったものの、積極的にさまざまな体験をし、要領がいい人のやり方を学び、実践して習慣化することで、効率的にこなせるようになったのだとか。 そんな過去があるからこそ、「たとえ要領が悪いと悩んでいたとしても、不安になったり、自己否定をする必要はない」と断言できるのでしょう。 この本は、私が見聞きして実際に取り入れ、実践してきた要領がいい習慣の集大成です。要領がいい人が見えないところで何をやっているのか、50個のコツを集めました。(「はじめに」より) そんな本書の第2章「要領がいい人の限られた時間の使い方」のなかから、きょうは2つのポイントを抜き出してみたいと思います。
仕事を完了させるための段取り術
1日の労働時間には限りがあるだけに、どの順序で仕事を進めるかはとても大切。 そもそも、個人の仕事を先にするか、チームで進める仕事を優先するかで葛藤しなければならないというケースも少なくありません。あるいは、集中力が高まる午前中に重要な仕事に取り組みたいと思っているけれど、上司や同僚との連携がないと進まないという仕事もあることでしょう。 なかなかうまくはいかないわけですが、だからこそ、段取りだけでも最優先に考えるべきだと著者は主張しています。たとえば誰かに手伝ってほしいときには、事前にお願いをしておくべき。そうすれば、相手が別の仕事で手が空かないというような事態を避けられるわけです。 ひとりでできる作業を優先し、他の人の協力が必要なタスクを最後まで残しておくと、その人がいないと仕事が終わらないことになってしまいます。その結果、「要領が悪い」だと思われてしまうかもしれません。 一方、要領がいい人は、まず仕事の全体像を把握するもの。そして、ひとりではできないタスクを把握し、事前に段取りを組み、逆算して必要な人に予定を伝えておくわけです。 「A課長、14時に仕上がる予定ですので、そのときに確認をお願いします」 「Bさん、現在書類を作成中です。15時からデータ分析をお願いできますか?」と事前に伝えておくことで、安心して仕事を進めることができます。 さらに、「14時までに」「15時までに」という期限が生まれるため、その時間までに終わらせようと、集中して作業を進めることができ、一石二鳥です。(52~53ページより) 不測の事態に備え、前もって準備をしておくことが大切だということです。 業務に役立つ「知識・経験・ノウハウ・事例」を誰でも活用できるようにすることを「ナレッジ共有」といいます。 これらを共有しておくことで、特定の人がいなくともスムーズに仕事が進みます。そのためには、ひとりにしかできない仕事をなくして、少なくとも2人以上が同じ仕事をこなせる体制を整えることが大切です。(53ページより) また、決定権も2人のうちひとりが承認できるようにしておくと、業務をさらに進めやすくなるはず。(50ページより)