5月31日に火星が地球に最接近、ハッブルが捉えた火星の地形を見る
5月31日、火星が地球に最接近します。これに先立ち、ハッブル宇宙望遠鏡(HST:Hubble Space Telescope)が火星の鮮明な姿を捉えました。また、最接近に合わせるかのように最新の研究成果も発表されています。34億年前に巨大隕石が2度も衝突して、大津波が引き起こされた可能性があるそうなのです。まるで地球のような、火星にまつわる二つの話題をご紹介しましょう。 地球外生命を探して -太陽系の“三大名所“をめぐる 2.エンケラドゥス
地球にも似た火星の地形と季節の移り変わり
火星の最接近は、約2年2か月ぶりです。その距離は約7500万キロメートル。東京のような明るい空でも、南の方角に明るい赤い星が見えます。地球から火星を見ると、太陽の反対方向にあって全体が照らされているので、とくに観察に適している時期です。 HSTが火星を撮影したのは、およそ3週間前の5月12日。地球から8000万キロメートルの距離にあるときでした。HSTが捉えた写真は、地球の砂漠地帯のようにも見えますが、火星です。写真の右端に大きく暗い領域が見えます。「大シルチス」です。17世紀に初めて火星の表面にある地形として確認されました。オランダの天文学者・クリスティアン・ホイヘンス(1629年~1695年)が火星の自転を調べるためにこの地形を使ったことで知られています。当時は平原と考えられていましたが、いまでは古い火山だということが分かっています。写真では、白い雲で覆われていますね。 その「大シルチス」の南側には、巨大な楕円形の地形が見えます。「ヘラス盆地」です。35億年ほど前に小惑星の衝突によってできたと言われています。その大きさは差し渡し約1770キロメートル、深さは8キロメートルもあります。 画像中央にあるオレンジ色の砂漠のような地形が「アラビア大陸」です。火星の北半球で4500kmにわたって広がっています。クレーターが密集している場所で、しかも深く浸食していることから、火星上でもっとも古い地形だと考えられています。 その南、火星の赤道に沿って東西に走る暗い地形が「サバ人の湾」と「子午線の湾」です。暗い岩盤と古い溶岩流などが砕けてできた細かい砂が堆積しています。 北極と南極を見てみましょう。火星の北極と南極は、主に二酸化炭素の氷(ドライアイス)で覆われていて白く見えます。北極の部分は南極のそれと比べて小さく見えますが、いま火星の北半球では夏の終わりを迎えているからです。南極部分には雲が広がって見えます。ほかにも火星を取り囲むようにうっすらとした雲が見えますね。地球と同じように、火星にも雲があり、季節の移り変わりがあるわけです。