旅行者の恩恵は想像以上かも…東京メトロ有楽町線・南北線の延伸「開業が待ち遠しい」と言えるワケ
新たな観光ルートが生まれるか
まず、有楽町線延伸について述べたい。一見すると、豊洲市場を除いて沿線に主要な観光施設はないように感じられるが、有楽町線延伸のポイントは半蔵門線との連携にある。 先述の通り、終着駅の住吉で半蔵門線と接続する形となる。半蔵門線は東京スカイツリーの最寄駅である押上に乗り入れており、浅草にも近い。また、豊洲はお台場へ向かうゆりかもめの始発駅でもある。つまり、有楽町線延伸は東京スカイツリー・浅草エリアと豊洲市場・お台場エリアを結ぶフィーダー的な路線となるのだ。 現状、押上から豊洲へは半蔵門線と都営大江戸線を経由して約30分を要する。また、東京スカイツリー駅から豊洲、築地経由で新橋に向かう都バスも運行しているが、所要時間は40分以上かかる。 計画によれば、住吉~豊洲間は約9分で結ばれる予定であり、押上~住吉間が4分であることを考えると、押上~豊洲間の所要時間はおおむね20分といったところか。この延伸により、お台場と東京スカイツリー間のアクセスが向上し、新たな観光ルートが生まれるだろう。 次に、南北線延伸について述べる。品川は東海道新幹線の主要駅であるにもかかわらず、東京メトロや都営地下鉄が乗り入れていない点が特徴的だ。一応、京急が隣駅の泉岳寺から都営浅草線に直通運転を行っているものの、品川はメトロネットワークから外れている。 南北線延伸が開業すれば、品川も東京メトロのネットワークに組み込まれることになる。南北線は六本木一丁目、永田町、四ツ谷、飯田橋といった駅を通り、都内を文字通り南北に結ぶ。ただし、新宿や池袋といった大規模ターミナル駅を経由しない点は特徴的である。また、六本木一丁目駅は六本木ヒルズや森美術館からやや離れており、注意が必要だ。 それでも、溜池山王駅では銀座線の他に丸ノ内線や千代田線に乗り換えられ、品川を利用する旅行者にとっては利便性が大幅に向上するだろう。ちなみに、都営浅草線には丸ノ内線や千代田線に接続する駅はない。 このように、有楽町線延伸と南北線延伸は、首都圏以外の利用者にとっても何らかの形で影響を及ぼす可能性が高い路線である。開業はまだ先の話ではあるが、その利便性の向上が期待されるため、今から心待ちにしたい。
新田 浩之(フリーライター)