「再発は絶対にしたくない」乳がんになった料理家が意識している食材と“がんに負けない”レシピ
北海道在住の料理家、奥山まりさんは2018年に乳がんに。抗がん剤治療の副作用に悩まされながらも、「好きな料理をあきらめない」という一念で治療を乗り越え、現在も「シンプルでおいしい家庭料理」を発信中だ。そんな奥山さんに、副作用対策で工夫したことや治療中の支えになった料理への思いを聞いた。 【写真】がんに負けない! 奥山さん流がん対策メニュー 奥山まりさんは、北海道を中心に活躍中の料理家。2018年、41歳のときに乳がんが見つかり、現在も定期検診を欠かさない。
立っているのがつらいときは床にカセットコンロを置いて
「入浴中に左胸の左脇にチクッとした感覚があり、触ってみたら硬いしこりがあったんです」(奥山さん、以下同) その翌日、婦人科クリニックへ。乳腺外科のある病院を紹介され、精密検査の結果、しこりは乳がんと診断された。 「私は8歳のときに37歳の父を亡くしていて、その年齢を過ぎてからは、自分はもう十分長く生きたような感覚がどこかあって……。告知を受けたときも意外と冷静でした。でも娘はまだ高校生であり、手術でも抗がん剤でも、やることをやるしかないと」 左乳房の部分切除手術の後、放射線治療を8回、さらに抗がん剤治療を受けた。放射線治療では照射部分がピリピリする程度だったが、副作用は想像以上にきつかった。 「同じ時間に抗がん剤の点滴を受けていたほかの人たちは、その後に出かけたりしていましたが、私はダメ。2時間後には気持ち悪さと倦怠感が襲ってくるので、急いで帰宅しました」 特に困ったのは、とにかく食が進まないこと。抗がん剤治療を始めてから3か月間で体重は6キロも減った。にもかかわらず、奥山さんの心の支えになったのは他ならぬ“料理”だった。 「私の料理は、もともと“家族に喜んでもらえること”が第一。自分は体調不良で食べられなくても、娘のお弁当や家の食事も作っていました。“料理を作れるから私は大丈夫!”と思えて、励みになっていたんです。まあ、“ごめん、今日はお弁当はムリ”と断念したことが、3回ほどありましたけど(苦笑)」 キッチンに立っているのもつらいときは、床にカセットコンロを置いて、座り込んで調理していたという。