「再発は絶対にしたくない」乳がんになった料理家が意識している食材と“がんに負けない”レシピ
大好きだったアイスクリームも苦手に
また、大好きだったアイスクリームも苦手になるほど、こってりした味が食べられなくなっていたので、自分用にはあっさりした塩味やコンソメ味に。夫や娘のためには、自分の分を取り分けた後にホワイトソースを加えるなどして、味つけに変化をつけていた。 「食欲がないときに助かった食材は、酸味のあるフルーツやトマト、香りが爽やかなセロリ、ハーブなどです。ラタトゥイユなど野菜をくたくたに煮た料理は胃腸にやさしく、重宝。 タンパク質をとるためには、鶏むね肉など脂身の少ない肉をカットして冷凍しておき、それに野菜を加えるだけで栄養バランスのよいメニューを作れるように備えていました」 抗がん剤治療を終えたタイミングで仕事に本格復帰。現在はインスタグラムで、身体にやさしい料理など数々のレシピを発信中だ。 「再発は絶対にしたくないと、がんには負けない気持ちで以前にも増して野菜を意識的にとるように心がけています。ただ、食べなくちゃと思うとプレッシャーになるし、毎食きちんと作るとなると、体力も奪われます。鮮度のいいもの、旬のものを手早く調理して味つけもシンプルな、毎日続けられる料理をこれからも提案していきたいですね」 奥山まりさん●1977年、北海道生まれ。1児の母。料理家として、レシピサイトやSNSで家庭料理のレシピを発信するほか、料理教室講師などを務める。オリーブオイルソムリエや北海道フードマイスターの資格を持つ。
トマト、旬フルーツ、タンパク質…奥山さん流がん対策メニュー
トマト缶と卵のシャクシュカ風 シンプルな調味料と野菜で作る、イスラエルの卵料理「シャクシュカ」風のひと品。トマトに含まれているリコピンには、がんを引き起こす原因のひとつされている活性酸素を体内から取り除く効果があり、がん予防に。 材料(2人分) 玉ねぎ……1/2個 カットトマト缶……1/2缶 ブロッコリー……100g パセリ……1枝 卵……2個 すりおろしにんにく……小さじ1 オリーブオイル……大さじ1 塩……小さじ1/3~1/2 パプリカパウダー……小さじ1 お好みのパン……適宜 作り方 【下準備】 ・ブロッコリーを小房に分ける。※小房に分け10個程度目安、冷凍食品でもOK ・パセリはみじん切りにする。 (1)小さめのフライパンにすりおろしにんにくとオリーブオイル、玉ねぎを入れ中火で熱し、にんにくの香りが立ったらカットトマト缶と塩、パプリカパウダーを入れ炒める。 (2)トマトの水分が半分ほどになるまで煮つめたらブロッコリーを入れ、中央に卵を割り入れふたをする。弱火で3分煮てふたを取り、中火にして水分を飛ばし火を止める。 (3)器に盛り、パセリを散らしパンを添える。 柿とクリームチーズのサラダ 食欲がわかないときにも食べやすいフルーツをサラダ仕立てに。柿に含まれるクリプトキサンチンは発がんを抑制する効果が期待できるほか、骨粗しょう症予防などの健康効果もある。 材料(2人分) 柿……2個 クリームチーズ……2個(36g) パセリみじん切り……適量 オリーブオイル……小さじ1 塩……少々 作り方 【下準備】 ・柿の皮をむき8等分に切る。 ・クリームチーズを4等分に切る。 (1)ボウルに柿とクリームチーズ、パセリみじん切りを入れ、オリーブオイルと塩をふる。 (2)全体をすくうようにざっくりとあえ、器に盛る。 鶏むね肉ときゅうりのスタミナ炒め 鶏むね肉にトマトの酸味ときゅうりの食感を加え、あと味さっぱり仕立てのスタミナ炒めに。脂肪の多い肉の食べすぎは、がんの発症リスクが上昇する可能性があるので注意。脂肪が少なくタンパク質の多い鶏むね肉でエネルギーを補充。 材料(2人分) 鶏むね肉……1枚 きゅうり……2本 トマト……2個 にんにくみじん切り……小さじ1 白ごま油……大さじ1 塩……小さじ1/3 酒……大さじ1 こしょう……適宜 作り方 【下準備】 ・鶏むね肉をひと口大に切る。 ・きゅうりは縦半分に切り種を取り、乱切りにする。 ・トマトはヘタを取り、6~8等分のくし形切りにする。 (1)フライパンに、にんにくみじん切りと白ごま油を入れ中火で熱し、にんにくの香りが立ったら鶏むね肉を入れて塩をふり、表面が白っぽくなるまで炒める。 (2)酒をふりふたをして弱火で3分蒸し焼きにする。 (3)ふたを取り強火にして、きゅうり・トマトの順に入れ、全体をざっくりと炒めて器に盛る。お好みでこしょうをふる。 取材・文/志賀桂子