【アイスホッケー】プレーオフ総括インタビュー・中島彰吾(レッドイーグルス北海道)
2連敗で始まった、今年のプレーオフ。 「ファンのために」勝ちたいと思った。
HLアニャンの連覇で幕を閉じた、今季のアジアリーグ。レギュラーリーグ2位のレッドイーグルス北海道は、プレーオフでも1勝3敗と悔しいままシーズンを終えた。今季、チームのキャプテンを務めた中島彰吾選手(FW)に、日本代表の召集直前に話を聞いた。 ――7カ月に及ぶアジアリーグの戦いが幕を閉じました。レギュラーリーグが終わって、いよいよプレーオフが始まるというさなか、キャプテンとしてどういう話をしたのでしょうか。 中島 ウチのチームは、必要以上に気持ちを見せるよりも、ユーモアのある感じの方が強さを発揮できるのかなと感じていたんです。これまで全日本選手権の前には「気持ちを入れてやろうぜ」と言っていたんですが、プレーオフはそれほど特別な気持ちにならなくてもいいのかな、と。みんなには「いつも通りにやろう」ということを伝えました。 ――3月30日の第1戦は、3-3のまま第3オーバータイムまで突入して、アニャンが103分に決勝ゴールを入れて勝ちました。初戦でいきなり、2試合分戦ったことになりました。 中島 僕がクレインズにいたころ、デミョンを相手にプレーオフでこの日と同じ「6ピリ」まで行ったことがあるんです(2019年2月23日、プレーオフセミファイナル・クレインズ‐デミョン第1戦・釧路)。その時はクレインズが113分、2-1で勝ったんですよ。もちろん疲れはあったんですけど、気持ちの面ですごく楽だったのを覚えているんです。今年のアニャンとの第1戦は、あれだけ長い間、戦ったのに何もついてこなかった。1勝がついてくるのと、何もついてこない差というのは、すごく感じました。もちろん勝負ごとですからやってみないとわからないんですが、もし、1戦目に先勝していたらどうだっただろう…というのはありますね。 ――アニャンとの第1戦は3ピリの59分15秒、エントリーした中島選手がゴール左でディレイして、パックをつないだDF橋本僚選手がシュート、トリプルスクリーンに入っていたFW中屋敷侑史選手のディフレクションで3-3に追い付きました。終了45秒前に追いつかれたアニャンと、追いついたレッドイーグルス。しかし、休憩をはさんでの「4ピリ」では、アニャンが序盤にPPを得て試合が進んでいきました。 中島 でも、負ける気はしませんでしたよ。4ピリのPKで、僕がノーマークで外したシーンがあったんですけど…。 ――4ピリの64分、アニャンの2人を置き去りにしてGKと1対1になったシーンですね。 中島 まあ「たられば」になっちゃうんですが、あれを決めていればウチの勝ちだったんですよね。オーバータイムも「どこまでいこうがやってやる」というつもりでいました。どこまで延長になろうが「最後はウチが決めてやる」と。 ――中島選手の滞氷時間は、チームのスケーターの中でも1、2位だと思います。しかもアニャン戦、ポジション的にはセンター。6ピリを戦ってみて、やはり疲労が残ったのではないでしょうか。 中島 いや、皆さんが想像していたよりも、そこまで疲れはたまっていなかったと思います。それよりも、先ほども言ったように「勝てなかった」気持ちの切り替え。それが、できなかったわけではないですけど、「難しいな」と思いました。 ――3月31日の第2戦も落として、第3戦からは「敵地で3試合、3連勝」するしかなくなりました。 中島 ホームで2連敗したら、苫小牧の試合ではアニャンに4連敗(3月23、24日に続いて)で終わってしまうんです。「ワシスタントのためにも、ここで負けるわけにいかない」。そういう覚悟を持って臨んだんですが…。 ――1ピリにFW髙木健太選手のゴールで先制しましたが、2ピリに同点。レッドイーグルスはPPで前がかりになっていて、アニャンにパスカットされてフリーで決められました。3ピリは、立ち上がり3分で2失点。アニャンはやっぱり「ミッション」を確実にやり遂げるチームだと思いました。 中島 レギュラーリーグの最後の2連戦(アニャン戦)、そしてプレーオフを通じて、3ピリの戦い方が自分たちのほうが下手だったと思います。それは「ここぞ」という場面での決定力であったり、「勝つ集団」としての経験が不足しているんだと思います。 ――2連敗スタートとなった、今回のプレーオフ。キャプテンとして、周りの選手には何を言ったのでしょう。 中島 1人1人、落ち込んではいたでしょうけど、切り替えなきゃいけない。「とにかく1日でも、1秒でも長く、このチームでホッケーをやっていこう」と言いました。木曜日(第3戦・4月4日)で終わっちゃったら、金曜日の全体練習だってできない。「金曜日にみんなで練習をしよう。だから木曜日は、絶対に勝とう」と。こうなったら、もう開き直ってやるしかありませんから。 ――そして、何といってもワシスタントの応援です。去年は春分の日が「安養への見送りの日」だったんですが、今年は4月2日の火曜日。スタッフによれば、平日にもかかわらず約100人がnepiaアイスアリーナに集まったそうです。 中島 応援してくれているというのを、あらためて感じさせてもらいました。「この人たちのためにも、必ず勝って終わろう」と。去年のプレーオフが終わって、ワシスタントの方が苫小牧まで出迎えてくれたんですが、「負けてしまってすみませんでした」としか出てこなかったんです。その記憶を4月2日に思い出した。「今年こそファンの方と喜びを分かち合おう」。そう決意して韓国に向かったんです。