日本初公開。「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」が21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開催
現代イタリアを代表する建築家でありデザイナー、アーティストのミケーレ・デ・ルッキ。その個展「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」が、東京・六本木の 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開催される。会期は9月20日~10月14日。 デ・ルッキは1951年イタリア・フェラーラ生まれ。1970年代から建築、ラディカルデザインの旗手として活躍。世界の一流企業のために家具・工業デザインを手がけるとともに、イタリア国内外で幅広いタイプの建築プロジェクトを実現している。2004年より木製模型の彫刻も制作しており、これによってフォルムの本質を追求し、建築プロジェクトへのインスピレーションを得ているという。 本展では、デ・ルッキの創作活動のひとつである彫刻「ロッジア」シリーズが日本初公開となる。 本展の発端は2019年、21_21 DESIGN SIGHTで交わされたデ・ルッキと三宅一生との対話をきっかけに始動したもの。ギャラリー3の空間のためのプロジェクトであり、会場には木製3点、ブロンズ製3点の「ロッジア」=6つの家(セイ カーゼ)と名付けられた彫刻作品が、制作過程の映像とともに展示される。 デ・ルッキは、会場のある六本木の地名が、かつて存在した6軒の武家屋敷に由来するという一説を知り、作品「6つの家」との間に偶然の一致を見出し、本展を「六本木六軒」と名づけた。6つの家は、アセチル化処理(木材を安定させ、耐水性、耐朽性等を高める酸化処理)を施したオーク材の台座に置かれ、そのディテールのデザインもデ・ルッキが手がけている。 デ・ルッキは、「木とブロンズはそれによって人類が文明を形成し、人間性を成長させてきたもっとも古くて高貴なマテリアルなのです」と語っており、使用したマテリアルには人類学的な意味があるという。 またデ・ルッキは「ロッジア」の制作のなかで、家の内と外をつなぐ空間であり、内で営まれる生活と外の環境が融合する場としての「間(あわい)の空間」の概念を探究しており、日本家屋の仕切りである障子と、ヨーロッパの住居におけるロッジア(涼み廊下)を想わせる要素が編み込まれているのが特徴だ。 「『ロッジア』は、伝統的な日本の茶室を想わせると同時に、建物の内と外との間に連続的な空間をつくり出そうと試みる、現代の先端建築を想起させます。自然の驚異的な力と人間のはかない本質を共存させるため、建築と人と自然との関係はますます重要なものとなり、私たちは生き方の新たなふるまいを模索する必要があるのです」(ミケーレ・デ・ルッキ) 本展は、実在する場所について考えるひとつの方法であり、人々が他者と、都市と、あるいは自然と共に生きる助けとなる、健全な建物とはなにかを模索する場となる。