「失敗を恐れずとにかく挑戦」日本人として15年ぶりのF1チーム代表就任、初年度にしてハースを再建に導いた小松礼雄の手腕
いまから1年前の2024年1月10日、ハースは小松礼雄(あやお)を新しいチーム代表に抜擢すると発表した。 【衝撃画像】「周冠宇のマシンが吹っ飛んで裏返しでコースを滑走してる…」「炎の中にドライバーがいるじゃんか…」ドライバーが九死に一生を得た瞬間など大クラッシュ史を見る 日本人がF1のチーム代表となるのは、トヨタF1の山科忠以来15年ぶりのこと。日本のメーカーが絡んでいないチームで日本人がチーム代表を務めるのは、小松が初の快挙だった。 「レースのエンジニアになって、いつの日かF1で戦いたい」という夢を抱いて、高校卒業後に渡英した小松。ビークルダイナミシストとしてBARに加入した03年に第一歩を刻み、その後ロータスでレースエンジニアとして飛躍。ハースでチーフエンジニアやエンジニアリングディレクターの要職に就いてきた。 その小松にとって、チーム代表という仕事は、それまで歩んできた道程とはまったく違う新たなチャレンジとなった。
チーム代表に求められる仕事
それまでの小松の仕事は主に現場でエンジニアたちをまとめることだったが、チーム代表はイギリスにあるファクトリーにいるエンジニアはもちろん、エンジニア以外のスタッフも含めたチーム全体をまとめなければならない。さらに仕事の内容も技術的なものだけでなく、予算を決める経営的な視点が求められる。また今後のルール作りを行う他チームの代表との会議では、政治的な手腕も問われる。そのため、チーム代表の中には経験を買われ、チームを渡り歩く者もいる。 チームオーナーのジーン・ハースからしても、前任のチーム代表との契約が終了した時点で新しい人材を外部から招聘する考えがなかったわけではない。名の知れた大物に頼めば対外的には経験が効力を発揮するが、チーム内のことはゼロから学ばなくてはならず、チーム改革に時間を要するという難点がある。果たして、ハースが選んだ新しいチーム代表は、創設時からチームを支えてきた小松だった。 チーム代表になった小松は、シーズン開幕前にチームを強化するための3つの改革案を打ち出した。1つは明確な目標を立てること。2つ目はその目標を達成するための戦略を立てることだった。 小松が掲げた目標とは、タイヤマネージメントを向上させることだった。23年までのハースは予選で速くても、レースでタイヤがもたずにズルズルと後退することが少なくなかった。そこで小松は、開幕前のテストから「欲張らずにタイヤマネージメントを向上させることに専念し、すべてのテストプログラムを見直すように」という指示を出した。それが目標を達成するための戦略だった。 新生ハースはテスト初日に最下位の船出となったが、それは想定内。結果に浮き足立つことなく、2日目以降もプログラムをブレずに淡々と消化していくスタッフたちを見て、小松は改革が順調に進んでいると実感した。
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