驚きだった平川亮のアルピーヌF1リザーブ就任。実はアルピーヌ側からのオファーがきっかけだった
1月9日に突如発表された、平川亮のアルピーヌF1リザーブドライバー就任のニュース。この契約は、アルピーヌ側からのオファーだったことが分かった。 【ギャラリー】モータースポーツ色強めで現地の様子をお届け! 東京オートサロン2025 平川は2024年シーズン、WEC(世界耐久選手権)への参戦と並行してマクラーレンのリザーブドライバーを務め、最終戦アブダビGPのFP1では実際にマシンをドライブ……F1公式セッションデビューを果たした。その後、同じアブダビで行なわれたポストシーズンテストでは、ハースF1のマシンをドライブした平川。わずか1週間の間に、2チームのマシンをドライブするという離れ技であった。 その平川は、2025年はアルピーヌF1のリザーブドライバーを務め、日本GPのFP1ではステアリングを握ることが発表された。わずかな期間の間に3チームを渡り歩くという点だけでなく、メルセデス→フェラーリ→ルノーと3メーカーのパワーユニット(PU)を経験できるという点でも、まさに異例中の異例と言える。 一体何が起きているのか? 平川が所属するTOYOTA GAZOO Racingで、グローバルモータースポーツディレクターを務める加地雅哉は、東京オートサロンでのmotorsport.comの取材に対して次のように説明してくれた。 「平川選手に関しては、アルピーヌ側からオファーをいただきました」 そう加地ディレクターは語った。 「我々はこれまで、マクラーレンやハースと一緒に仕事をしてきました。しかし今回のオファーに関しては、平川選手の意思を尊重しようということになったんです。そして平川選手本人が、一人のドライバーとしてチャレンジしたい……レギュラーシート獲得を目指してチャレンジしたいということだったので、我々としてはそれならば応援しようということになりました」 これまで、特にマクラーレンではリザーブという形でのチーム加入だった。ハースとしても、既に2025年のドライバーラインアップは決定済みだった。今回アルピーヌでレギュラードライバーを目指すということは、今までとは平川が置かれる立場が異なるということなのか? そう尋ねると、加地ディレクターは次のように説明してくれた。 「いずれにしても、リザーブドライバーで終わってしまっては仕方がありません」 「今までもレギュラードライバーを目指していくという目標はなかったわけではないです。しかしチャンスがどれだけ広がっているのか、それを考えた中で、平川本人としてはアルピーヌでチャレンジしたいということだったわけです。ですから、今までとこれからが別物というわけではなくて、レギュラーシートを獲得するためにどこで頑張るかということを、取捨選択した結果です」 トヨタは昨年の10月、ハースF1と複数年にわたるテクニカルパートナーシップを締結。ドライバーをはじめ人材育成の面で協業していくことに合意したばかりだ。実際、ハースF1のマシンには、TOYOTA GAZOO Racingのロゴが誇らしげに掲げられている。 平川のアルピーヌ入りが決まるまでは、ハースF1の育成対象になる最有力候補は平川であろうと見る向きもあったが……つまり他のドライバーが、ハースF1のリザーブドライバーに就任する可能性が高まったようにも見える。 平川以外のドライバーを、ハースに送り込む計画はないのか? 「もちろんそういう風にしたいと思っています」 そう加地ディレクターは言う。 「そうできるように、しっかりと育成をしていきたいと思います。ハースさんと一緒に育成をやっていくということは、もう発表させていただいています。ですから、そこをしっかりとやっていくということだけだと思います」
田中健一