最新版「死因」と「状況」…2023年に死亡した157万6016人を調査
人の死に方はさまざま。そのなかには、注意していればあるいは避けられたかもしれない亡くなり方をする人もいる。「死因」やその状況を知ることは私たちの今後の振る舞い方を考えるうえで大いに参考になる。そこで、2024年9月発表の最新の政府統計から2023年に亡くなった157万6016人の死因を調べてみた。 「意外な死因」2022年最新版…死亡した156万9050人を調査 ■死因のトップはがん、新型コロナは8位 「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)」によると、死亡数157万6061人は前年より6966人増加し、調査開始以来過去最多だった。死因のトップは悪性腫瘍(がん)が38万2504人で総死亡数の24.3%を占めた。以下、心疾患(14.7%)、老衰(12.1%)と続き、新型コロナでの死亡は8位の3万8086人(同2.4%)だった。 気になるのは働き盛りの中年の死因。中年を40~64歳とすると、その年代で亡くなった人は11万3945人。うちがんが4万2050人、心筋梗塞などの心疾患(高血圧性を除く)1万4837人、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患が8548人だった。インフルエンザは1383人(全年齢)、糖尿病は1537人。 ■歩行者・自転車での交通事故死 交通事故死3573人のうち歩行者は1351人、自転車は465人。新聞やテレビで報じられることの多い乗用車の乗員死は679人で、オートバイでの事故死は529人だった。交通事故死のうち40歳~64歳は735人だった。 ■自殺は2.1万人 自殺総数は2万1037人(男性1万4388人、女性6649人)。全死亡数に占める割合は1.3%。総数は前年より215人減少したが、男性は26人増えている。40~64歳は9030人だった。 ■亡くなった場所 病院や診療所や介護老人保健施設や老人ホームなどの施設で亡くなった人は128万220人。自宅で亡くなった人は26万7335人で、前年より5930人減少した。これは新型コロナ流行の影響があったものと考えられる。なお、自宅で亡くなる人の数は2001年に13万1337人まで減少したが、その後増加傾向にある。 ■独身で亡くなった男女 15歳以上で亡くなった157万2873人を調べたところ、「未婚」で亡くなったのは男性9万4824人、女性5万1655人。「死別」は男性16万1363人、女性49万7397人で、「離別」は男性7万5073人、女性5万8151人。配偶者がいた男性は46万8752人、同女性は16万4551人だった。 ■転倒・転落・墜落 この年、交通事故を除く不慮の事故で亡くなった人は4万867人。そのうち1万1784人が転倒・転落・墜落で亡くなっている。そのうち9954人がスリップ、つまづき、よろめきによる転倒が原因で、ステップや階段からの転落やそこでの転倒による死も625人報告されている。建物や建造物からの転落は335人、はしごからの転落やそこでの転倒は161人、がけからの転落は35人、樹木からの転落は22人だった。 また、ベッドからの転落は85人いて、うち47人は家庭のベッド。施設は17人、学校などの施設も15人いた。 気になるのは車椅子からの転落が33人いたこと。うち14人が家庭だったことは驚きだ。慣れている我が家での車椅子だからといっても安心はできない。普通の椅子からの転落も19人いた。 人とぶつかったり、押されたりして人が亡くなるなんて思いもしないが、実際には2人いた。場所は自宅以外の居住施設1人(80歳以上)、スポーツ競技および競技施設1人(65歳~79歳)。なお、アイススケート、スキー、ローラースケート、スケートボードの転倒は4人報告されていて、うち3人は45歳~65歳だった。 ■浴槽内での溺死・溺水 水などの液体が侵入することによって気道が閉そくされ窒息する病態を溺水と言い、溺水による死亡を溺死と言う。不慮の溺死や溺水は合計8993人。そのうち浴槽内の溺死および溺水は6885人(家庭内6333人)だった。家庭以外では商業施設などでの367人が目立つ。浴槽への転落による溺死は24人だった。 一方、川や海、湖など自然な水域での溺死・溺水は465人、転落などによる溺死や溺水は107人だった。 ■喉に食べ物などを詰まらせ窒息 何らかのものが喉に詰まって亡くなったケースのうち、食べ物が喉に詰まったが4620人、食べ物以外が2213人、胃の内容物が逆流して喉に詰まったケースが1228人だった。 不慮の窒息にはほかに、落盤や落下する土砂などによる窒息も52人報告されている。 ■動物や虫に噛まれた、刺された 犬に噛まれた傷やぶつかったときの打撲が原因で亡くなった人が1人。他の動物に噛まれた傷や打撲による死亡は13人だった。 毒蛇・トカゲへの接触で亡くなったのは7人、スズメバチなどのハチに刺されたのは21人。 ■高温、低温、なだれ・暴風雨などの自然災害 自然の高温で亡くなったのは1651人、同低温で亡くなったのは1354人。落雷による受傷の末亡くなったのは2人。なだれ・地すべりなどで11人、暴風雨による受傷が元で亡くなったのは7人だった。 ■薬・酒・農薬の中毒など 抗てんかん薬、鎮静・睡眠薬、パーキンソン病治療薬及び向精神薬による不慮の中毒等は115人。アルコールによる不慮の中毒等は83人、農薬による不慮の中毒等は33人だった。