国際人権団体、サッカーW杯サウジ開催決定に警鐘
【AFP=時事】国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルをはじめとするその他20の団体は11日、国際サッカー連盟(FIFA)が2034年W杯の開催国をサウジアラビアに決定したことは、建設労働者をリスクにさらす「非常に危険な瞬間を示している」との警告を発した。 【写真】34年W杯開催決定を喜ぶサウジのスポーツ相 単独候補となっていたサウジアラビアは、この日行われたFIFAのバーチャル総会で34年W杯の開催国として正式に承認された。これにより、W杯は22年にカタールが開催してからわずか12年後に再び湾岸地域に戻ることになる。 アムネスティやヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)、フットボール・サポーターズ・ヨーロッパといった人権団体は声明を発表し、「住民、移民労働者、訪問するファンに対するよく知られた深刻なリスクにもかかわらず、サウジアラビアに大会の開催権を与えることは、非常に危険な瞬間を示している」と述べた。また、それらを長らく強調してきたとした上で、「FIFAはわれわれの警告を無視し、自らの人権政策を放棄することを決定した」としている。 人権団体は長い間、サウジアラビアでの大量処刑や拷問の疑惑、保守的な男性後見制度下での女性の制限を強調してきた。表現の自由は厳しく制限されており、ソーシャルメディアでの批判的な投稿に対して長期の刑が科されることもある。 FIFAは先月発表した評価報告書の中で、サウジのW杯招致には人権面で「中程度のリスク」があるとみなし、改革には「相当な時間と努力」を要する可能性があるとしていた。 また同国は近年、有名なボクシングの試合やフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)、女子テニスのWTAファイナルズなど、さまざまなスポーツイベントを主催しているが、人権問題から目をそらす「スポーツウオッシング」の手段だと非難されている。【翻訳編集】 AFPBB News