【アルゼンチン共和国杯展望】波乱含みの出世レース 各馬のハンデも絡み合って混戦ムード
[GⅡアルゼンチン共和国杯=2024年11月3日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2500メートル] GⅠの谷間に開催される非根幹距離のハンデ重賞。いかにも荒れそうな設定条件ながら、近10年で3連単の配当が10万円を超えたのは1度のみで、比較的平穏な決着が多い。実力馬がきっちり結果を残しているからこそであり、過去には2015年ゴールドアクターが続く暮れの有馬記念を制し、16年シュヴァルグランは翌年、17年スワーヴリチャードは翌々年のジャパンCを制覇。また、ここの勝利を契機に海外へ羽ばたいた20→21年オーソリティ、23年ゼッフィーロなどもおり、谷間のハンデ重賞とはいえ大舞台へのステップとしてしっかり機能している。 重賞勝ち馬は3頭が登録したが、ここではむしろ重賞Vにリーチをかけている非・重賞ウイナーの勢いが目につく。クロミナンス(牡7・尾関)は徐々に距離を延ばし、近2走は今回と同じ2500メートルのGⅡ戦で日経賞2着→目黒記念3着。文字通りタイトルまであと一歩のところまできている。さらなるハンデ増(57・5キロ→58キロ)は課題になるが、夏を休養に充てて重賞初Vへの準備は万全だ。 セレシオン(牡5・友道)はオープン入り2戦目の新潟記念で2着。3歳秋から約1年の長期休養を経て復帰すると、6戦してすべて3着以内と安定した走りを見せている。東京コースは3歳のプリンシパルS7着以来とはいえ、決め手に磨きをかけた今なら適性がないはずはあるまい。GⅢの前走から1キロ増えるハンデ57キロがどこまで影響するか。 重賞2着2回のサヴォーナ(牡4・中竹)も重賞タイトルは目の前。距離・コース・展開を問わない走りは魅力だ。ハンデは57・5キロ。また、重賞〈0・4・2・9〉のマイネルウィルトス(牡8・宮)は文字通り悲願の重賞Vを目指す。21、23年のこのレースはともに2着。ハンデは据え置きの57・5キロで、〝三度目の正直〟での戴冠を狙う。 メイショウブレゲ(牡5・本田)は今春の目黒記念で10着という結果だったが、展開が不向きな中でも着差はわずかだった。差し脚質ゆえに今回も展開がカギとはいえ、前走・京都大賞典3着が示すようにタフな末脚勝負なら浮上の余地は十分ある。56キロのハンデは前走(別定GⅡ3着)を踏まえると有利に映る材料だ。 札幌でオープンを連勝したショウナンバシット(牡4・須貝)も、持続力や豊富なスタミナを生かせる競馬に持ち込めば差はない。重賞勝ちがない中でハンデ58キロを課されたが、札幌2歳S、サウジアラビアRCを勝っている須貝厩舎&佐々木のタッグは要注目だ。 もちろん重賞ウイナーたちもチャンス十分。ミクソロジー(牡5・辻野)は長期休養明けのオールカマーで11着に終わったが、3000メートル以上では2戦2勝の実績がある。距離延長は間違いなくプラス。ハンデは58キロだが、叩き2戦目でパフォーマンスを上げてきそうだ。古豪ハヤヤッコ(牡8・国枝)も波の大きな成績ではあるが、重賞、オープンでも差のない走りを見せている。底力は健在で、トップハンデの58・5キロも背負い慣れた負担重量だ。
東スポ競馬編集部