まふまふやAdoのMVイラスト手がける寺田てら、松屋銀座で個展 「私の絵柄は、もう古い」と語った真意と覚悟
イラストレーター・寺田てらさんの展覧会「SensiouS(センシャス)」が、11月20日(水)から12月8日(日)まで、東京・松屋銀座8階のイベントスクエアで開催されている。 【写真 10点】寺田てらさん個展会場の様子を見る 独自の色彩感覚と評されるビビッドな色づかいは、一目見れば網膜に焼き付いて離れない。鮮烈なポップネスを放ちながらも、どこか生きづらさを内包するダークな世界観が最大の魅力だ。 展覧会「SensiouS」では、寺田てらさんがこれまで手がけてきた商業作品やオリジナル作品、さらには20点に及ぶ描き下ろしイラストなど、300点以上を展示。 今回は、展覧会初日に行った寺田てらさんへのインタビューと共に、個展の内容をレポートする。
寺田てらのイラストが圧倒的物量で迫ってくる!
寺田てらさんはドイツ生まれのイラストレーター。唯一無二の色彩表現を武器に、Z世代をはじめ男女問わず幅広い人気を集めている。 まふまふさんの「デジャヴ」、ナナヲアカリさんの「チューリングラブ feat.Sou」、Adoさんの「阿修羅ちゃん」と、アーティストのMVイラストをはじめ、ゲーム、VTuberなど様々なアートワークを担当。 近年は、ヨウジヤマモトから展開されているブランド・Ground Yとコラボレーションしており、活躍の場を広げている。 個展「SensiouS」では、それら商業作品はもちろんのこと、LINEスタンプとしても人気の「てきとう女子。」のイラストや、オリジナルキャラクター・てん死ちゃんの大型フィギュアも展示。 300点以上という圧倒的な物量で、寺田てらというクリエイターが生み出すイラスト/キャラクターが迫ってくる。
「イラストを記号化することで、認知が広がった」
会場の松屋銀座といえば、これまで名だたる作品やクリエイターの展覧会が開催されてきた場所。 そうした歴史の中で、寺田てらさんは松屋銀座で個展を開催した最年少のクリエイターだ。 「当初は自分の作品が、松屋銀座というブランドと乖離してしまわないかと不安に思っていたんです。でも、実際に会場を見てみると違和感なく作品を展示してくださって、すごく安心しました(笑)」 前述した通り活躍の幅が広がる一方、2020年にKAI-YOU Premiumが実施したインタビューの中で、「今の自分の絵柄はあまり好みではない」と話していた。4年を経た現在の心境とは? 「正直、仕事としてイラストを描く上で、いまだに自分で勝手に呪いをかけてしまっているというか……イラストをある種の記号化することで、人に覚えてもらえるようになったと思います。それゆえに、新たな作風の開拓やチャレンジはできていなかったかもしれません」 ただ、必ずしも悪いことばかりではなく、「“縛り”を課してきたことによっていい結果も生まれている」という。 「認知が広がることで、新しい仕事に繋がることもありました。個展を開催するにあたって、300点以上の作品を見返す中で、良かったこともあったんだと思いました」