ガセネタだった金正恩氏「重体説」 錯綜した情報はどう流れたか?
正恩氏が姿を消したこと自体は事実
こうして金正恩重体説は数日中の早い段階で、さほど信憑性のある情報ではなくなりましたが、かといって「まったくあり得ない話」と断定することもできませんでした。金正恩委員長が姿を消したことは、事実だからです。 特に、北朝鮮指導部では最重要とみなされる4月15日の故・金日成(キム・イルソン)主席生誕の日の祝賀に現れなかったことは、極めて奇異なことでした。金正恩委員長に「何かがあった」可能性そのものは、非常に高いと言えます。 その理由は、ようやく姿を現した後も、不明です。重体でなくとも、何かしらの深刻な健康被害に遭ったのではないかとの推測もありましたが、少なくとも今回公開された写真では一見、とても元気そうに見えます。 姿を隠していた約20日間、金正恩委員長の身に何かあったのか、あるいは何もなかったのか、その真相はまだ分かりません。
----------------------------------------------- ■黒井文太郎(くろい・ぶんたろう) 1963年生まれ。月刊『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長等を経て軍事ジャーナリスト。著書・編書に『イスラム国の正体』(KKベストセラーズ)『イスラムのテロリスト』『日本の情報機関』『北朝鮮に備える軍事学』(いずれも講談社)『アルカイダの全貌』(三修社)『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社)などがある