キーコーヒー上場30周年 柴田社長が語る上場への思いと株主との理想の関係とは?
個人株主との共創の機運
キーコーヒーは近年、持続可能なコーヒー生産の取り組みに注力している。 2022年1月には、コーヒー生産のサステナブル活動を推進する専門部署「コーヒーの未来部」を設立。ここでは柴田社長自らが部門長となり、コーヒーに関する国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)や独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携しながら、品種開発につながる栽培試験などに向けて取り組んでいる。 WCRとは2016年4月から協力、24年5月には柴田社長がボードメンバーに就任。WCRが2012年に創立して以来、アジアおよび日本人として初の就任となった。 就任発表会では「WCRとの調査研究の中で進めてきたことに一歩踏み込み、小規模生産者の力になりたい」と抱負を述べた。 キーコーヒーではかねてからコーヒー生産者との対話や絆づくりにも重きを置き、2013年からは「KEY COFFEE AWARD」をインドネシアで毎年開催。これは、その年に収穫されたコーヒーを総合的に選考し、各部門で表彰するセレモニーで、柴田社長も現地に赴き生産者にインドネシア語で感謝の意を表している。 「直営農園のスタッフやその周りに点在する個人の生産者様とのコミュニケーションの場でもあり、我々と一緒においしい『トアルコ トラジャ』を作っていこうという絆を深めている」と述べる。
会社の発展や個人株主数の増加に伴い、共創の機運もみられる。 個人株主が多い点に対して、「個人の株主様からヘビーユーザーとしてのご質問やご意見をいただけるのがありがたい。株価の安定というよりも、ファンとしてキーコーヒーや、キーコーヒーの商品に関心を持っていただけている効果が大きい」とみている。 株主総会では、経営以外の質問も多いという。 「新商品の味や配荷状況のほか、コーヒーの2050年問題や地球温暖化に関するご質問もいただく。総会に行った感想をブログやSNSに上げてくださる方もいらっしゃる。いただいたご意見や情報を経営に活かし相乗効果を生み出していきたい」と意欲をのぞかせる。 キーコーヒーでは、株主に対して広報誌「Coffee Fan」を定期的に発刊して郵送。「デジタル時代に、あえて出版物をお届けして新商品やコーヒーにまつわる情報を伝えている。今後は、コーヒーを取り巻く情報発信をさらに強化していく」と力を込める。