「売れ残りタワマン6000万戸」という中国の悪夢…大迷走の中国経済を待ち受ける「”失われた30年超”の暗黒期」
大量の売れ残りタワマン
中国の不動産バブルの端緒は1995年までさかのぼる。当時、中央政府は“都市不動産管理法”を公布。それによって、地方政府は土地の使用権を不動産デベロッパーに売却できるようになった。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 中国の国民は、自分の家を持ちたいという欲求が強く、自宅を手に入れるという夢を実現しようとマンションなどを買い求めた。1995年から2022年まで、中国の国内総貯蓄率は平均で44.6%と世界的にも高く、うち7割の貯蓄は価格上昇期待の高い不動産分野に流入していった。 その結果が、大規模な不動産バブルの発生だった。 2020年8月に政府が“3つのレッドライン”を導入し、不動産業者の借り入れを抑制し始めるとバブルは崩壊し始めた。2024年9月時点で、不動産市況の悪化に歯止めはかかっていない。それに伴い、中国経済の成長率は低下傾向にある。 現在のマンション在庫は6000万戸、処理に10年を要するといわれるほどの供給過剰状態だ。乱立するタワーマンションも多くが売れ残っている。 前編記事〈「中国の激安製品」お断りの国が続々と…切り札なき中国経済に聞こえ始めた「崩壊の足音」〉で伝えた通り、こうした状況のなかで中国は外需を取り込むための投資と生産を重視している。 だが、中国は投資と生産ではなく、需要の不足を解消しなければならない。参考になるのは、資産バブル崩壊後のわが国経済の教訓かもしれない。
経済専門家が主要ポストから外れた
大規模なバブルが崩壊すると、経済の立て直しに主に3つの方策が必要になる。 まず、金融・財政政策を発動して目先の景気を下支えする。二つ目は、不良債権処理を進め金融システムの安定性を確保する。三つめは、規制緩和を進めて企業の活力を高め、新しいモノやサービスを生み出す。人々が欲しいと思ってしまうモノやサービスが増えれば経済は成長できるからだ。 1997年度までわが国は財政支出を増やし、公共事業を積み増した。1999年2月に日銀はゼロ金利政策、2001年3月に量的緩和政策を開始するなど金融緩和を進めた。1992年ごろから顕在化した不良債権問題の処理は遅れ、1997年に金融システム不安が起きた。2002年の“金融再生プログラム”によって、不良債権処理は進んだ。 ところが、わが国の政策運営に関して、3つ目の規制緩和などでの需要創出は難しく、日本経済は長期停滞に陥った。 今年9月以降、中国は金融・財政政策を打ち、金融システムの安定維持策も実施した。ただ、中国政府は依然として投資と生産を増やし、輸出を伸ばそうとしている。 中国の経済政策立案を支えた政策運営のエキスパートが政府の主要ポストから外れ、必要な政策の立案・実行が難しくなっているとみられる。現指導部が統制を強めて政治基盤の強化を優先しているため、経済問題に目が向かいづらいのかもしれない。