札幌山の手は3大会ぶり勝利ならず 右足首負傷の古谷飛翔主将が意地の先制トライ「倒れるまでやったろう」…全国高校ラグビー
◆全国高校ラグビー第1日▽1回戦 高鍋31―5札幌山の手(27日・花園) 開幕し、1回戦が行われた。南北海道代表の札幌山の手は、前半18分にフッカー古谷飛翔(つばさ)主将(3年)のトライで先制するも、その後は高鍋(宮崎)の反撃を止められず5―31で敗れた。 主将が痛みをこらえて意地のトライを決めるも、札幌山の手は逆転負けで3大会ぶりの白星を逃した。試合終了の瞬間をベンチで迎えた古谷主将は「あと10分残っていたので逆転してくれると信じていた。最後まで(ピッチに)立てなくて悔しい」。大声で仲間を鼓舞し続けたが、願いは届かなかった。 21年度大会以来の勝利を目指して臨んだ一戦だったが、いきなりアクシデントに見舞われた。試合序盤、古谷が相手との接触で右足首を負傷。歩くのもやっとの状態だった。それでも、前半18分にゴール前左サイドでボールを受けると、「右足なんかどうでもいい。倒れるまでやったろう」と、相手のタックルをはねのけてトライ。執念で先制点をもぎとった。 先制に成功した札幌山の手だが、その後はゴール前でのミスが相次ぎ、攻めあぐねた。徐々に高鍋に流れをつかまれ、素早い攻撃に苦戦を強いられた。前半25分に同点に追いつかれると、その後も勢いを止められず。終了間際の後半30分に点差を24点に広げられるダメ押しトライを奪われて力尽き、黒田弘則監督(53)は「県大会のビデオを見た以上にスピードがあった。前半に取れるところで取れなかったのが結果に響いてしまった」と唇をかんだ。 後半19分までプレーした古谷は、この試合を最後に競技を引退する。卒業後は不動産会社に就職する予定だ。大阪出身で地元でラグビー人生を終え、「友達とかもたくさん見に来てくれたのに全然いい姿を見せられなかった。できるなら、このチームのみんなともう一回(ラグビーを)やりたい」。シード校撃破の夢を後輩たちに託し、右足を引きずりながら聖地を後にした。(島山 知房)
報知新聞社