「朝すっきり起きれない」からの突然死も!? 自分は大丈夫かチェック【医師監修】
もしかして自分も睡眠時無呼吸症候群? 自分でチェックしてみよう
編集部: 睡眠中のことなので、自分で気がつくのは難しそうですね。 岩間先生: そうですね。睡眠時無呼吸症候群の人は日中の過度の眠気、頭痛などが代表的な症状として表れることがあります。 ご家族の方にいびきを指摘される場合も睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ご自身で確認する方法として、いくつかのセルフチェックリストやアプリなどもあります。 編集部: セルフチェックについて知りたいです。 岩間先生: 例えば当院で用いているのは以下のようなチェック項目です。 ・よく昼寝をする ・仕事中(特にコンピューター系)にうとうとすることがよくある ・家族でいびき・無呼吸の人がいる ・「いびきをかいている」と言われる ・朝起きたとき、すっきりしていない ・寝相が悪いほうである ・悪夢をよくみる ・日中、何となくだるい、疲れている感じがする ・メタボリックシンドロームであるといわれている ・朝起きた時、口が渇いている これらの質問に「はい」の回答が多いほど睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。 編集部: 「はい」が多かった場合はどうすれば良いですか? 岩間先生: 医療機関を受診するようにしましょう。かかりつけ医がいる方は、まずはそちらでも良いですし、そうでない方は、お近くの「睡眠時無呼吸症候群外来」などの専門医療機関に相談するのが良いと思います。 編集部: 病院ではどのような検査をするのですか? 岩間先生: まずはBMIなどで肥満度を確認したり、問診をおこなったりして、起床時の頭痛や日中の眠気などの自覚症状や既往歴、服薬状況などについて聞きます。そこで「睡眠時無呼吸症候群の疑いがある」と判断された場合、診断機器を用いた検査が行われます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法を医師が解説
編集部: 診断機器を用いた検査とはどのような検査ですか? 岩間先生: 腕時計タイプの機械を用いる簡易検査と、さらに詳しく調べるための終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)があります。簡易検査は、睡眠中の血中酸素飽和度やいびき・呼吸状態を測定する検査で、検査機器を持ち帰ってもらい、自宅で検査をしてもらいます。 編集部: PSGはどんな検査ですか? 岩間先生: この検査は、睡眠中の呼吸状態や睡眠の質を詳しく調べるものです。先述の血中酸素飽和度やいびき・呼吸状態のほか、脳波や胸・腹部の動きを記録し、無呼吸のタイプや重症度を評価します。 センサーの数は簡易検査よりも多くなり、入院が必要となりますが、痛みは伴いません。解析は専門の医師や臨床検査技師が行います。 編集部: 睡眠時無呼吸症候群であった場合、どのような治療をするのですか? 岩間先生: 軽い睡眠時無呼吸症候群であれば、寝る時のポジショニングや体重コントロール、生活習慣の改善などを指導します。一定以上の重症度であれば、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が選択されます。 眠るときに鼻や口にマスクを装着して空気の圧で気道を押し広げるというもので、有効性・安全性が高く、健康保険の適用になっている治療法です。 編集部: 「一定以上の重症度」とは、どのように決められるのですか? 岩間先生: 1時間あたりの無呼吸の回数で決められます。具体的にいうと、簡易検査で40回/h以上、PSGで20回/h以上であればCPAP療法が保険適用となります。 編集部: ありがとうございます。最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあればお願いします。 岩間先生: 睡眠時無呼吸症候群は、眠っている時の無呼吸なので自分では気付かないことや、日中の症状も「眠気」や「ぼーっとする」など抽象的なものが多いため、気が付かないまま重症化してしまっているケースが多く存在します。 私の患者さんでも、治療を開始してから「朝スッキリ起きるって、こういうことだったんですね」「日中の集中できない感じ、あれが眠気だったんですね」と仰る方もいらっしゃいます。 重症化するとさまざまな病気のリスクが上がってしまいますので、先述のチェックリストで思い当たる点のある方は、気軽に受診してみてください。