【セントウルS回顧】課題を克服したトウシンマカオ 充実一途でGⅠ制覇に向けチャンス到来
意外性のモズメイメイ
2着ママコチャは休み明けで+10kg、大外枠で前に壁がつくれず、かなり行きたがった。状態がよかった証だろう。休み明けで付いていけないより、次走につながる内容だった。好位の外から11.4-11.1を抜け出しており、脚力は明らかに上。爪の不安もなくなり、次走は最有力。クロフネの牝馬はソダシ、カレンチャン、アエロリット、ホエールキャプチャなど5歳でも活力を落とさない。ママコチャは7~9月【2-2-1-0】でこの時期に強い。今年のスプリンターズSは9月29日。データもあと押しする。 3着モズメイメイは最内枠から好位追走。この夏、競馬が非常に上手になったという意味でも上昇著しい。最後は狭いところを我慢強く抜け出しており、またひとつ新たな面をみせた。ただ、さすがに抜け出すのに手間取った感もあり、3着確保が精一杯。サマースプリントシリーズ逆転優勝を逃した。酷暑のなか、中3、中5週で3度走っただけに、GⅠに向けての上昇はどうだろうか。しかし、今回も7番人気に甘んじたように、人気と結果が裏腹なところがある。チューリップ賞7番人気1着など、つねに意外性を秘めるタイプだけに簡単には見限れない。 1番人気ピューロマジックは13着。デビュー3戦目から逃げるようになり、崩れたのは1400mのファンタジーS以来。1200mでは初だった。ここ2戦は葵S、北九州記念と平坦コースでスピードを発揮してきた。坂がある阪神だと1勝クラス2着、マーガレットS2着と最後に甘くなった。敗因はハイレベルな先行勢に突っつかれて厳しかっただけではなく、坂がこたえたのもあったか。中京は残り400~200mに坂がある。ピューロマジックが早々に脱落したのは明らかに坂適性。スピードタイプにはこの手のタイプが多く、トウシンマカオのようにいずれ克服する馬もいる。 また、中京は独特のコース形態でコース巧者を生む一方、苦手な馬も多くいる。中京は巧者を味方に、人気馬が苦手なら軽視する。難しいコースだからこそ、シンプルな作戦が有効になる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳