2年後の定年で住宅ローンが「完済」します。老後破産を避けるには定年後「持ち家」と「賃貸」どちらにすべき?
「定年前に住宅ローンを完済して、老後は持ち家で過ごしたい」と考えている人もいるでしょう。 持ち家は賃貸とは異なり、家賃の支払いがなく負担が軽減されるように思えます。とはいえ、家屋に関連した支出がなくなるわけではなく、ある程度お金がかかります。 場合によっては支出が大きくなり、老後破産(定年後の年金生活で支出が多くなり困窮すること)の心配が出てくるかもしれません。 本記事では、持ち家や賃貸にかかる支出をご紹介するとともに、老後破産を避けるうえでどちらがおすすめなのかについても解説します。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
二人以上の65歳以上の無職世帯はひと月あたり3万円以上の赤字になる!?
今回のケースのように65歳で定年退職する場合、以降は年金のみが主な収入源になるパターンが考えられます。 この場合、家計の収支バランスはどのようになるのか、65歳以上の夫婦2人世帯(無職)を例に総務省統計局のデータをまとめると、表1の通りです。 表1
※総務省統計局「家計調査報告【家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成 65歳以上のすべてのカテゴリにおいて、消費支出が可処分所得を上回っています。平均での収支バランスは「-3万203円」であり、65歳以上の生活が赤字になる可能性を示しています。 この結果はあくまで平均的ケースであり、実際の収支バランスは世帯ごとに異なるため、もちろん黒字となる世帯も存在するでしょう。とはいえ、メインの収入源が年金のみの場合、生活資金に余裕がない可能性は十分考えられます。 ■持ち家にかかる費用 前述の調査対象者のうち、9割以上の住居形態は「持ち家」でした。「持ち家だと支出をおさえやすい」というイメージがあるかもしれませんが、調査結果を見ると、必ずしもそうではないようです。 持ち家を維持する場合にどのような費用がかかるかというと、以下のような項目が代表的でしょう。 ・税金(固定資産税・都市計画税など) ・リフォームやメンテナンス費用 ・保険料(火災保険や地震保険など) 各項目でどれくらい費用がかかるかは、住宅の評価額や状態などにより変動します。ちなみに先ほどの調査において、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における「住居」の月平均支出は「1万6827円」でした。 この金額は持ち家に住んでいない世帯を含んでいますが、調査対象世帯の持ち家率の高さを考慮すると、持ち家居住者の支出状況に近い数値とも考えられます。 ■賃貸にかかる費用 賃貸の場合、一般的に以下のような費用がかかります。 ・初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など) ・家賃 ・管理費(集合住宅の共益費など) ・火災保険料 ・更新料(契約更新のタイミングでかかる費用) 賃貸の場合、持ち家のように固定資産税や修繕積立金はかかりません。 一方で、毎月の家賃が発生するほか、家賃の数ヶ月分に達することもある初期費用や管理費などが発生する可能性があります。持ち家を処分して賃貸に住み替える場合、売却額しだいで、これらの費用がどれほどの負担になるかが変わってくるでしょう。