京都人に銭湯で「広いお家で育ちはったんやねぇ」と言われたら、真意は… 話題の「いけず論法」でマナー伝授
京都市中京区の京都府公衆浴場業生活衛生同業組合のメンバーが、真意をオブラートに包みながら、やんわりとマナーを伝える「お風呂にまつわる京言葉」を編み出した。「広いお家で育ちはったんやねぇ」という言葉には、「会話の音量は配慮して」との本音が込められているといった具合で、昨今話題の「京都人いけず論法」の銭湯版だ。不作法だと、お湯だけでなく、愉快ないけずも浴びることになりそうだ。 【写真】トレカの裏には「いけず」の真意が… 銭湯を紹介するトレーディングカード(トレカ)の配布を企画。数枚を集めて組み合わせると、隠された文字が浮かび上がるといった各種工夫に加え、京都らしい言葉を添えて楽しんでもらおうと、同組合で広報を担当する銭湯の店主らが頭をひねった。 ■「シズル感たっぷりやねぇ」「今日はやたらえぇ風が吹いてくるわぁ」 43種類の表裏がある言葉はいずれも粒ぞろい。「シズル感(肉汁がしたたるような雰囲気を指す言葉)たっぷりやねぇ」の真意は、「脱衣所に戻るときはしっかり体をふいて」。「今日はやたらえぇ風が吹いてくるわぁ」ならば、「浴室の扉はきっちり閉めて」。「落ち武者に憧れてはるん?」の場合は、「長い髪はまとめて」だ。「かくれんぼ上手どすなあ」は「浴槽で潜ったらあきまへん」が本音で、「我が家みたいに思てくれてはるんやねぇ」は「浴槽内で歯磨きせんといておくれやす」を意味している。 「湯船への直行便はあらしまへんよ」(入浴前はかけ湯をして)、「布はんもお風呂につかりはるん?」(タオルを湯船に入れたらあきまへん)など、似たような言い回しで実際に使われている言葉もあるという。 ■「優しくやんわり伝えることでマナーを守ってもらえれば」 トレカは10月下旬から配布した。銭湯ごとにさまざまないけず言葉が記されており、「読むのが楽しい」と喜ばれている。小町湯(下京区)の蒔田高明さん(53)は「京都らしい面白い言葉を楽しんでほしい。優しくやんわり伝えることでマナーを守ってもらえれば、みんなが気持ちよくお風呂に入れる」と話した。