透き通ったイカ活け造りに、黒いシャリの握り!? 食通をうならせる、女性寿司職人による驚愕のおまかせコース
まずは塩をはらりと振り味わえば、シャクッとした食感が心地よく、すっきりとした甘みが印象的。お次は塩と酢橘の搾り汁で。さっぱりとした味わいに、より一層、箸が進むというもの。「ゲソはこの後、塩焼きもしくは天ぷらで味わっていただけます」と村上さん。
造りで、焼きや揚げ物で、イカの魅力を余すところなく味わい尽くすことができる。
真っ黒のシャリで握る「イカ」は消える魔球!
真っ黒のシャリもまた「墨や」ならでは。 米は、古米をはじめ3種を用いる。赤酢に米酢をブレンドして、塩と砂糖を少々。そこにイカ墨を加えてシャリにするという。赤酢のふくよかな香りとまろやかな味わいに、イカ墨の旨みが調和する。 「黒シャリに合わせるネタは、イカのほか、甘鯛や平目など白身魚とも相性がいいんです」(村上さん)
笹岡さん「イカ墨を用いた黒い酢飯とネタとの相性は抜群。目も舌も楽しませてくれます。」
黒と白のコントラストが実に美しい、剣先イカの握り。頬張れば、濃厚な甘みが口の中に広がり、まろやかな酸味のシャリとともにハラリとほどけた! イカ墨がもつ旨みで、シャリの酸味が和らぎ、ネタと見事なハーモニーを奏でる。
笹岡さん「握りだけでも10貫以上。酢飯も変えて提供され、いずれも新鮮で美しいんです。」
白シャリは、マグロや穴子など脂のりの良いネタと共に
さっぱりとした酸味が心地よい白シャリは、しっかりと脂がのったネタと絶妙な相性を見せる。 ネギトロ巻きは、白シャリにトロの濃厚な甘みがなじみ、海苔の香ばしさが渾然一体に。このほか、マグロの漬け、煮穴子、赤貝の軍艦巻きなどに白シャリを用いる。
黒と白、味わいも表情も異なるシャリと、旬のネタとの相性をじっくり堪能したい。
独学で我が道を行く、女性寿司職人の心意気
女性寿司職人・村上さんは、名店での修業経験はないが、「たくさんの方に教えていただき、今の私があります」とにこやかに話す。店が休みの日には、話題の店へ食べに行くことも欠かさない。寿司に関しては「関西と江戸前の、いいとこ取りですね(笑)」。研究熱心な村上さんならではの味と技が、食べ込んだ客を魅了し続けているのだろう。