フジロックで大反響、Frikoが相思相愛の日本で語る「マイベスト」人生を変えた音楽と新作の展望
2024年上半期のベストソング+新作の展望
―Paste Magazineの2024年上半期のベストソング1位に「Where Weʼve Been」が選ばれましたが、あなたたちにとっての2024年上半期のベストソングを挙げるとすれば? ニコ:今年はいい曲がいっぱいあるよね。ちょっと考えさせて……。 ベイリー:ちょっと調べなきゃ(と言って、自分のスマホを見る)……これは2023年のリリースだし……あっ、これだ!チャーリー・XCXの「Sympathy is a knife」。 ニコ:あー、僕もそれ! ベイリー:最初はシカゴのバンド、スクワレル・フラワーの『Tomorrow’s Fire』だと思ってたんだけど、今調べてみたら2023年のリリースで。だから、チャーリー・XCXの「Sympathy is a knife」が今のところトップかな。 ニコ: 僕も同感。ジャンルで括れないようなアルバムだよね。ダイレクトに訴えかけてくる何かがある。 ベイリー: 正直な言葉が歌詞に綴られてる。ダンスっぽいんだけど、すごくエモーショナルで親しみやすさを持った音楽。こんな音楽、そう簡単には作れないよ。 ―同感です。今回はサウンドはもちろんですけど、歌詞がいいですよね。それにしても、フリコの曲やアルバムは、Paste Magazineだけでなく、複数のメディアで上半期のベストに選出されていましたが、自分たちの音楽が少しずつ世間に浸透してきているなという感覚はありますか? ニコ:その感覚は間違いなくあるし、これから起こりうることにはもちろんワクワクしてる。ありきたりな言い方になっちゃうけど、今の状況に感謝している一方で、どこか空虚に感じることもあって。満たされてないっていうか……特にアルバム制作を終えた後だからさ。すべてを制作に注いでいたんだ。 ベイリー:大変だったし、精神的にも余裕なんてなかったよね。 ニコ:こうやってツアーができるなんて、すごくありがたい。ブッキングエージェントと契約して、ここまで辿り着くのはすごく大変だったし。うまく言葉にできるか分からないけど……準備を整えて目的地に向けて歩みを始めるとするよね? 歩き続ける過程で、ある時ふと気持ちに余裕が生まれて、他のことにも目を向けられるタイミングがやってくる。場所を変えたり、新しい人たちと制作したり、日本へ来たこともそう。同年代の人たちと出会って仲良くなって、新しい学びがあって。このアルバムが新しい学びや出会いへと導いてくれたんだ。この経験が次のアルバムにつながっていくといいなと思ってるよ。 ―次のアルバムはこんなふうにしたい、っていう構想はまだこれから? ニコ:わからないな。僕は自然に生まれてくるべきだと思ってる。今回のアルバムも意識的だったわけじゃないんだ。少なくとも後半になるまでは、特別意識していなかった。 ベイリー:ダンスミュージックについては話したりしてたよね。実験的なことがしたいね、って。 ニコ:ああ。『ストップ・メイキング・センス』を観てからすっかり影響されて、ライブレコーディングを観たり、トーキング・ヘッズやデイヴィッド・バーンをチェックしてたんだ。ただのダンスミュージックじゃなくて、楽しさや悲しみみたいな感情がちゃんとある音楽だよね。 ベイリー:ウォーター・フロム・ユア・アイズのオープニングをやったんだけど、同じ理由ですごく刺激をもらった。荒々しくてノイジーなんだけど踊れて、婉曲的に感情を伝える音楽。 ニコ:実は、次のアルバムのタイトル案はもうあるんだけど……まだ言えないな。 ベイリー:これから変えるかもしれないし。 ニコ:そう。それか、シンプルに『ベイリー』でもいいんじゃない? ベイリー:ただ『ベイリー』って?(笑) ニコ:そう。いいんじゃない? ―(笑)ニューアルバムはいつのタイミングで作りたいと思っていますか? ニコ:来年末あたりにできたらいいなって話してはいるけど、急いで満足できないものを作りたくないんだ。 ベイリー:来年末に向けてっていう目的を立てるのは、精神的にはうまく作用してる。でも、満足できていない状態でリリースしたり、プロセスを急がせるようなことはしたくない。まあ、今のところはいい感じのスケジュールじゃないかな。 ニコ:まあ、4年分の曲のアルバムをリリースしたばかりなんだ。1stアルバムに人生をかけておいて、セカンドアルバムのリリースに1~2年っていうのはさ。ちょっと様子をみてみようと思ってる。今はとにかくツアーでいろんな場所を訪れて、これからいろんな影響を受けていくことになると思う。この先どうなるかは自分でも分からない、誰も予測できないよ。